一般雇用で働いていた頃にうつと双極性障害を発症し、精神障害者保健福祉手帳を取得。就労移行支援を経て、大手企業の特例子会社へ。面接を受ける側と、面接をする側の両方に座りました。
はじめに

転職回数が多いと、障害者雇用でも書類の段階で落とされるのでは。そう思って、応募の手が止まっていませんか?
採用する側が見ているのは、回数そのものより「次は続くか」です。だからこそ、職歴の伝え方と次の職場の選び方しだいで、挽回はできます。
私は一般雇用の3社すべてで体調を崩し、双極性障害と診断されて精神障害者保健福祉手帳を取得しました。
在籍期間は1社目が約7年、2社目が約1年、3社目が約3年です(詳しくは3章で書きます)。
その後、就労移行支援を経て特例子会社に障害者雇用で入社し、1社で13年続けて働いています。その間、採用担当として面接する側にも座りました。
この記事では、転職をくり返した当事者と、特例子会社の元採用担当という二つの立場から書いていきます。
この記事でわかること
- 転職回数が多いと、障害者雇用でどのくらい不利になるのか
- 元採用担当が職歴を見て「不安になった人」「安心できた人」の違い
- 履歴書と面接での、職歴・退職理由の伝え方
- 次こそ長く続けるための職場の選び方と相談先
こんな人に読んでほしい
- 一般雇用や障害者雇用で、転職や短期離職を何度かくり返してきた
- 職歴の多さが気になって、次の応募に踏み出せない
- 「また続かないのでは」という不安を、今回で終わりにしたい
1. 障害者雇用で転職回数が多いと不利? 採用側は「回数」より「次は続くか」を見ている

転職回数が多いことが、障害者雇用でまったく影響しないとは言えません。
ただ、採用する側が本当に知りたいのは社数より、「入社したあと長く働いてもらえそうか」という点です。
あなたも「何社目から多いと思われるんだろう」と気になっていませんか?
この章では、回数の見え方、企業が心配していること、公的なデータ、回数より見られている3つの点を順に見ていきます。
1-1. 何社から「多い」と見られる? 年齢と在籍期間で見え方は変わる
「何社を超えたら多い」という公的な基準は、実はありません。同じ社数でも、年齢と1社ごとの在籍期間によって、受け取られ方は変わってきます。
社数だけでなく、職歴の流れも合わせて見られるためです。働いてきた年数に対して何社なのか、1社にどのくらいいたのかで、同じ「3社」でも意味合いが違ってきます。
たとえば同じ3社の職歴でも、採用側が確かめたくなることは、次のように変わりやすいと考えられます。
| 職歴の例 | 採用側が確かめたくなること |
|---|---|
| 40代で3社、どれも5年前後 | それぞれの職場で積んだ経験と、移ってきた理由 |
| 20代で3社、どれも1年未満 | 辞めた理由と、次の職場で続けられそうか |
| 1社だけ長く、ほかは短い | 長く続いた職場と、短かった職場の違い |
回数だけで「多い・少ない」が決まるわけではない、ということ。社数が気になる方ほど、自分の職歴を「年齢」と「在籍期間」で一度並べ直してみてください。
1-2. 障害者雇用で企業がいちばん心配するのは「早く辞めてしまうこと」
障害者雇用で企業が転職回数を気にする背景には、「入社しても、すぐに辞めてしまうのでは」という心配があります。
障害者雇用では受け入れのために準備することが多く、早く辞めてしまうと、募集からやり直しになるからです。
民間企業には、従業員のうち一定の割合以上の障害者を雇う義務(法定雇用率)があり、2026年7月からはこの割合が2.7%に上がりました。
雇った人が続かなければ、この割合も保てません。
(出典:大分労働局「令和8年7月より障害者の法定雇用率が2.7%に引き上げられます」)

採用担当だったころ、応募者のどこを見ていましたか?

私が見ていたのは、病名ではなく勤務の安定性でした。具体的にどんな点を見ていたかは、1-4でまとめますね。
転職回数は、「早く辞めてしまわないか」という心配のきっかけになりやすいもの。
逆に言えば、その心配を書類と面接で小さくできれば、回数だけで判断される場面は減らせます。
1-3. データで見る:障害のある人の職場定着率と、辞めた理由
先に、データから読み取れることを3つ挙げておきます。
- 就職して1年以内に辞める人は少なくなく、企業が定着を気にする背景には数字がある
- 障害者求人で働いた人のほうが、1年後も続いている割合が高い
- 精神障害のある人では、障害が分かったあとの職歴の社数が、短い期間での定着と関係している
ここからは、その根拠になる数字を順に見ていきます。
1年後も同じ職場で働いている人は、約6割

障害者職業総合センター(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の研究部門)が2017年にまとめた調査があります。
2015年7〜8月にハローワークの紹介で一般企業に就職した障害のある人のうち、就職後1年時点の定着率(同じ職場で働き続けている人の割合)は58.4%でした。
3か月時点では76.5%です。
障害の種類ごとに見ると、精神障害のある人は49.3%で、約半分でした。
いちばん高い発達障害(71.5%)とは、20ポイント以上の差があります。
同じ調査では、障害者求人で就職した人の1年後の定着率が70.4%と、一般求人で就職した人より高くなっています。
(出典:障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」(2017年))
辞めた時期と理由
就職後1年までに辞めた1,361人では、「自己都合」が69.3%で最も多くなっています。辞めた時期ごとに多かった理由は、次のとおりです。
- 3か月未満で辞めた人:「労働条件があわない」19.1%、「業務遂行上の課題あり」18.1%
- 3か月以降1年未満で辞めた人:「障害・病気のため」17.4%
前の職場を辞めた理由については、少し古い数字ですが、2013年11月の厚生労働省の調査があります。
精神障害のある人(一部発達障害のある人を含む)が個人的な理由で辞めた中では、「職場の雰囲気・人間関係」が33.8%で最も高くなっていました。
(出典:厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター Q&A」)
職歴の社数と定着の関係
さらに先ほどの障害者職業総合センターの調査では、精神障害のある人について、障害が分かったあとの職歴が「3社以上」の人より「1〜2社」の人のほうが、就職後3か月までの定着につながりやすいという分析結果も示されています。
採用側が転職回数に目を向ける理由は、この数字からも説明できると言えます。
1-4. 回数より見られている3つ:在籍期間・辞めた理由・今の体調の安定
回数の代わりに見られているのは、大きく分けると「在籍期間」「辞めた理由」「今の体調の安定」の3つです。
採用担当として私が見ていたのは、今の体調、自己理解の深さ、配慮事項の明確さ、続けて働けそうか、働く準備の状況、困ったときに相談できるか、の6つでした(あくまで私個人の感覚です)。
この6つを、採用側が見る3つの点に整理すると次のようになります。
| 見られること | 関係する点 |
|---|---|
| 在籍期間 | 続けて働けそうか(短い在籍が続いていないか) |
| 辞めた理由 | 自己理解の深さ、配慮事項の明確さ |
| 今の体調の安定 | 今の体調、働く準備の状況、困ったときに相談できるか |
在籍期間は過去のことですが、残りの2つは違います。
辞めた理由の整理と今の安定は、これから自分で整えられる部分です。
それぞれ、どんな職歴の人に不安を感じ、どんな人に安心したのか。次の2章で、元採用担当として見てきたことを具体的に書いていきます。
2. 元採用担当が見た、職歴で「不安になる人」「安心できる人」の違い

職歴が多い応募者の中にも、不安になる人と安心できる人がいました。分かれ目は、続かなかった原因の説明のしかたでした。
ここに書くのは私個人の感覚で、勤務先の選考基準ではありません。あなたの職歴が今どちらに見えそうか、照らし合わせながら読んでみてください。
2-1. 不安になった:辞めた理由がすべて周りのせいになっている
辞めた理由がすべて前の職場や周りのせいになっている人には、不安を感じました。辞めた理由があいまいな人も同じです。
採用する側から見ると、原因がすべて外にあれば、次の職場で同じことが起きたときにどう動くのかが見えにくくなります。
理由があいまいな場合も、何が起きたのかが分からないため、入社後の配慮を考える手がかりが少なくなるわけです。

でも、本当に職場の人間関係が原因で辞めたんです。それも書かないほうがいいですか?

人間関係で辞めること自体は、先ほどのデータのとおり珍しくありません。書き方の違いを、下の表で見てみてください。
同じ出来事でも、書き方で見え方は変わります。たとえば次のような違いです。
| 不安に見えやすい(例) | 原因が伝わりやすい(例) |
|---|---|
| 前の職場が配慮してくれなかった | 配慮してほしいことを自分から伝えられず、無理を重ねて体調を崩した |
| なんとなく合わなかった | 急な対応が続く仕事で、疲れが翌日まで抜けなくなった |
右側は、周りのことを隠しているわけではありません。自分の側で何が起きていたかを足しているだけです。
具体的な答え方は、5章の例文で詳しく扱います。
2-2. 不安になった:同じ理由で辞めることをくり返し、対策が見えない
職歴の多い応募者で、次のような職歴には不安を感じていました。
- 同じような理由での退職が、何度も続いている
- 1年未満の在籍が続いている
- 辞めてから次の仕事までの空白が長く、その間のことが分からない
どれも、次の職場で同じことが起きないかを確かめたくなる職歴です。

仕事を辞めてから1年以上、療養していました。この空白も不利になりますか?

私が気になったのは、空白が長く、その間のことが分からない職歴でした。空白期間の書き方は、4章で扱いますね。
くり返しの職歴があっても、それだけで決まるわけではありません。次の2-3では、職歴が多くても安心できた人の話をします。
2-3. 安心できた:続かなかった原因を自分で分かっていて、配慮事項に言いかえられている
職歴が多くても「この人は大丈夫そう」と思えたのは、続かなかった原因を自分の言葉で説明できた人です。
さらに、その原因に合わせた配慮事項(働くうえで職場にお願いしたい工夫)や対処法を持っている人でした。
一般に、原因と配慮事項がはっきりしていれば、受け入れる側も準備を考えやすくなります。2-1・2-2で書いた不安が、ちょうど裏返しになる形です。
言いかえの流れは、たとえば次の3段階です。
- 続かなかった原因:業務量が急に増えると、眠れなくなって体調を崩した
- 自分でできる対処:睡眠の記録をつけ、崩れ始めたら早めに上司へ相談する
- 職場にお願いしたいこと:業務量が大きく変わるときは、前もって知らせてほしい
私自身も、障害者雇用で働く中で休職したあと、職場に戻るときに似たものを作りました。支援機関の担当者のアドバイスで作った「症状別対処法」です。
- 双極性障害の特性を、躁・軽躁・平常時・軽うつ・うつの5段階に分けた
- 段階ごとに、よく出る行動や考え方と、その対処法をリストにした
- このリスト1枚を、上長と支援員に渡した
これで、周りが変化に気づいてくれる環境ができました。会社側から見ても、こうして見える化してくれる人は安心材料が多いと感じます。
作った経緯は、休職から復職までの体験談にまとめています。
応募の段階で、ここまで細かいものは要りません。原因と対処とお願いを1つずつ言えるだけでも、職歴の多さは「自分を分かっている人」の材料に変わります。
2-4. 支援機関を使っていることは、安定の裏づけとして読めた
精神障害のある方の応募書類を見るとき、就労移行支援(障害のある人が一般企業で働くための訓練を受けられる福祉サービス)などの支援機関を使っているかどうかは、私にとって判断材料のひとつでした。
通所を続けてきたこと自体が、生活リズムと体調を保ってきた実績として読めるからです。職歴が多い人で「大丈夫そう」と思えたのも、次のような人でした。
- 直近の仕事や就労移行支援などで、安定して通えている期間があった
- 支援機関とつながっていた
先ほどの障害者職業総合センターの調査でも、精神障害のある人では、就職前に訓練を受けた場合や、支援機関の定着支援を受けた場合のほうが、就職後3か月までの定着につながりやすいという結果が出ています。

就労移行支援に通っていない人は、不利になりますか?

主治医やハローワークと連携していることが伝われば、同じように安心材料になりますよ。
反対に、通っていても選考でプラスになりにくい人がいたことは、「就労移行支援はやめとけ、は半分正解」に詳しく書いています。
見学で何を確かめればよいかは「就労移行支援の見学で聞く質問20」にまとめました。
支援機関は、職歴の多さを打ち消すものではありません。それでも「今は安定して通えている」ことを、第三者の目で裏づけてくれる存在にはなります。
ここまでが、採用する側から見た職歴の話です。次の3章では立場を変えて、一般雇用で転職をくり返した私自身が、障害者雇用で続いている理由を書いていきます。
●職歴のほかに採用担当が何を見ているかは、この記事にまとめています。↓
3. 【体験談】一般雇用の3社すべてで体調を崩した私が、障害者雇用で13年続いている理由

一般雇用の3社すべてで体調を崩した私が、障害者雇用で13年続いているのは、会社ではなく働き方の枠組みを変えたからです。
体調を崩したときも、「辞める」の手前に休職・リワーク・異動という段階がありました。
あなたも「次こそは」と転職したのに、また同じように苦しくなった経験はありませんか?
3社での流れ、主治医の言葉、障害者雇用で続いている理由、13年目の休職を順に書いていきます。
3-1. 環境を変えても、同じところで倒れた(一般雇用の3社)
一般雇用では、仕事の中身も会社も変えました。それでも、3社すべてで体調を崩しています。
まずは3社の流れを、表にまとめておきますね。
| 在籍期間 | 働き方 | 体調 | |
|---|---|---|---|
| 1社目 | 約7年 | 徹夜や休日出勤もある、体力勝負の仕事 | 不安障害を発症 |
| 2社目 | 約1年 | 未経験の事務職に転向。人間関係の負担が大きい職場 | うつを発症し、退職 |
| 3社目 | 約3年 | 少人数で会社の事務や管理の業務をすべて回す部署 | 再びうつを発症 |
23歳で就職した1社目は、約7年続きました。30歳前後で結婚して父親になり、「この働き方をこの先も続けられるのか」という問いが生まれます。
答えが出ないまま、迷いと仕事のハードさが重なって、不安障害を発症しました。
30代前半には、働き方を変えようと事務職に移ります。業界は未経験で実績もなく、会社を選べる立場ではありませんでした。
入った先は人間関係の負担が大きい職場で、うつを発症して約1年で退職しています。
30代中盤、休養と通院で少しずつ体調を戻し、別の会社へ。仕事量がハードなうえに、上の立場の人から下へ圧力がかかる環境でした。
それでも父親としての責任感から無理を重ね、またうつを発症しました。

体調が悪くなりかけたとき、周りに言い出せなかったんですか?

私もそうでしたが、無理が続いて少し異変が出ても、「チーム全体が忙しいから」「周りに迷惑がかかる」と考えて言い出せないんですよね。実際は、体調を崩して休職になったほうが、周りはもっと大変です。
会社を変え、仕事の中身を変えても、体調を崩すという結果は3社とも同じでした。転職の回数だけを見れば、私も「多い」側に入ります。
3-2. 主治医に言われた「同じことをくり返す可能性が高い」
3社目で休職しても体調は戻らず、入院することになりました。そこでついた診断が、双極性障害です。
このとき主治医から、精神障害者保健福祉手帳の取得と、障害者雇用という道を紹介されました。主治医の判断を要約すると、次のような内容です。
- これまで働いてきたような環境では、同じことをくり返す可能性が高い
- それなら障害者雇用のほうが安定して、配慮を受けながら働ける可能性が高い

障害者雇用をすすめられて、迷いはありませんでしたか?

迷いました。周りの目、キャリア、給与、家族への説明など、迷ったことや不安だったことはいくつもありました。
転職をくり返してきた方の中にも、同じところで迷っている人は多いのではないでしょうか。迷いはありましたが、私は障害者雇用で働く道を選びました。
この選択が、次の3-3で書く「枠組みを変える」ことにつながっていきます。
3-3. 変えたのは会社ではなく「働き方の枠組み」だった
一般雇用で3社を経験して、環境を変えても同じところで倒れることが分かりました。
私の場合、問題は会社選びではなく、働き方の枠組みそのものでした。
ここで言う枠組みは、主治医が言っていた「配慮を受けながら働く」形のことです。
障害者雇用促進法により、事業主は過重な負担にならない範囲で、障害のある人に合理的配慮(障害があっても働きやすいように、職場が行う調整)を提供する義務があります。
(出典:厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」)
退院後は、病院の社会福祉士の紹介で就労移行支援に約3か月通いました。そして休職から約1年後、特例子会社に障害者雇用で入社しています。
一般雇用のころと比べると、次のように変わりました。
| 一般雇用の3社 | 障害者雇用(特例子会社) | |
|---|---|---|
| 働き始める前 | 休養と通院で体調を戻し、次の会社へ(3社目) | 就労移行支援に通ってから入社 |
| 障害と配慮 | 障害者雇用の枠ではない | 障害を伝え、配慮を受けながら働く |
転職回数が多い方ほど、次の会社名より「どんな枠組みで働くか」から考えてみてください。
3-4. 13年目にも休職した。それでも辞めずに続けられたのは、休職・リワーク・異動という段階があったから
ここまで読むと、障害者雇用に移って解決した話に見えるかもしれません。でも、そうではありませんでした。
特例子会社13年目の40代後半、私はうつで休職しています。
入社当初から6年間働いた部署で自信を取り戻し、10年以上の勤務で体調も戻りました。
いろいろな部署での経験も自信になって、一般雇用のころに近い業務量をこなすようになっていたんです。
薬を飲み忘れることも多くなっていたところに、家庭の事情と仕事の忙しさが重なります。うつの側に振れて、戻せなくなりました。
正直に言って、復職できるのか不安でした。それでも、このとき選んだのは退職ではなく休職とリワーク(休職中の人が職場に戻るための訓練)です。
正社員という立場だったことも、大きな安心につながっていました。
復職までは、次の3つの段階を踏んでいます。
- 休養(1か月):主治医が薬を調整し、まずは安静に過ごす
- リワーク:atGPジョブトレIT・Webに2か月通う
- 復職:休職から4か月で復職。部署を異動し、勤務地も自宅に少し近い拠点へ
最初の休養の1か月があったからこそ、薬の調整の効果もあって「社会復帰できるかな」という気持ちが湧いてきました。
異動先は、先ほどの入社当初から6年間働いた部署です。これも特例子会社だからこその配慮だと思います(2章で書いた症状別対処法を作ったのも、このときです)。
辞めるか続けるかで迷ったときの考え方は、「特例子会社を辞めたい人のその後」に詳しく書いています。
体調を崩したとき、「辞める」の手前に休職・リワーク・異動という段階があった。これが、13年目でも辞めずに続けられた理由です。
ここまでが私自身の話でした。次の4章では、職歴の多さを書類でどう見せるかに話を戻します。
4. 転職回数が多い人の履歴書・職務経歴書の書き方

職歴が多い人の書類は、すべて書いたうえで、どこを厚くするかで印象が変わります。
省いたりぼかしたりするより、整理して見せるほうが、2章で書いた採用側の不安を減らせます。
職歴欄に何社分を書くか迷って、手が止まっていませんか?この章では、職歴・長く続いた仕事・退職理由・空白期間の4つに分けて書き方を見ていきます。
4-1. 職歴は省かずに書く(省くと、後で分かったときに信頼を失う)
短い期間で辞めた職歴も、省かずに書くほうが安全です。
書類の内容は、面接で質問の材料になります。省いた職歴があとから分かると、中身より「書いていなかったこと」のほうで信頼を失いやすくなります。
もうひとつ、省いた期間は、書類の上では空白に見えます。2-2で書いたように、私が不安を感じたのは「その間のことが分からない」職歴でした。
| 書き方 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 短い職歴を省く | その期間が空白に見え、面接で聞かれたときに説明がずれる |
| すべて書く | 職歴は多く見えるが、書類と面接の話がそろう |
並べ方に迷ったら、ハローワークの窓口で応募書類の相談ができます。
ハローワーク旭川のページでも、応募書類の書き方に「絶対」はないとしたうえで、応募先に合った作り方は窓口で個別に相談するよう案内しています。
(出典:ハローワーク旭川「応募書類作成支援」)
職歴が多いこと自体は、書き方で隠すものではありません。すべて書いたうえで、次の4-2のように「どこを厚くするか」で見せ方を変えていきます。
4-2. 短い職歴は簡潔に、長く続いた仕事と身につけたことを厚く書く
短い職歴は1〜2行にとどめ、長く続いた仕事に紙面を使ってください。
ハローワークインターネットサービスでは、職務経歴書を「履歴書では書ききれない具体的なキャリアやあなたのやる気をアピールするためのもの」と説明しています。
限られた紙面なら、強みが伝わる仕事に行数を回したほうがいいわけです。
(出典:ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」)
面接に立ち会っていたころ、採用側でよく交わされていたのは「この人はどの部署から始めるとよいか」という会話でした。
事務の経験はなくても、販売の経験があって人当たりがよい人なら、まずは窓口業務が中心の部署から、という具合です。
私の感覚では、未経験であること自体は落とす理由にならず、話し合われていたのは「入口をどこにするか」でした。
その入口を考える材料になるのが、長く続いた仕事の中身です。書く量の分け方を、目安として例にしてみます。
| 職歴の例 | 書く量(たとえばの目安) | 書く中身 |
|---|---|---|
| 販売の仕事(5年) | 厚く(5〜6行) | 担当した業務、工夫したこと、身についたこと |
| 事務の仕事(4か月) | 短く(1〜2行) | 担当した業務だけ |
| 軽作業(6か月) | 短く(1〜2行) | 担当した業務だけ |
短い職歴の印象は、行数を減らすだけでもかなり変わります。そのぶん、長く続いた仕事で何を身につけたかが、読み手の目に残ります。
4-3. 退職理由は短く事実を書き、「次はどうするか」を添える
書類で退職理由に触れるなら、事実を1文、次にどうするかを1文で十分です。
書く場所は、一般的には次のように分けることが多いです。
- 履歴書の職歴欄:会社名と入社・退職の年月を中心に、短く書く
- 職務経歴書:それぞれの職歴の下や最後の自己紹介の欄に、事実と今の取り組みを1〜2文で添える
- 添え状や面接:書類に書ききれない事情を、言葉で補う
たとえば、次のような形です(私の体験ではなく、書き方を説明するための例です)。
| 事実(1文)の例 | 次はどうするか(1文)の例 |
|---|---|
| 片道1時間半の通勤が続き、体調を崩して退職 | 通勤の負担が少ない求人にしぼり、就労移行支援で毎日通う練習をしている |
| 求められる作業の速さについていけず、退職 | 就労移行支援で、自分に合う作業と合わない作業を整理した |
| 体調不良により、入社3か月で退職 | 療養のあと、就労移行支援に週5日、半年間通えている |
2-3で書いた「原因・対処・お願い」の言いかえを、書類用に短くした形だと考えてみてください。面接で聞かれたときの答え方と例文は、次の5章で詳しく書きます。
4-4. 空白期間は、療養・通院・就労移行支援など「何をしていたか」を書く
仕事をしていなかった期間は、何をしていたかを短く書いておきます。
再就職を目指す人向けの公的な相談窓口である埼玉県女性キャリアセンターは、仕事のブランク(空白期間)を応募書類に書くポイントとして、期間と理由を簡潔に説明すること、その間の具体的な行動を書くこと、面接で具体的に説明できるよう準備することなどを挙げています。
(出典:埼玉県女性キャリアセンター「応募書類」)
障害や病気のある人の空白期間なら、たとえば次のような書き方ができます。
- 療養・通院:主治医のもとで治療に専念していた期間
- 就労移行支援:通った期間と週の日数、取り組んだ訓練
- 生活リズムを整えるために続けていたこと
3章で書いた私の就労移行支援の約3か月も、書類では「就労移行支援に通所」と書ける期間です。
空白期間に整理した配慮事項は、ナビゲーションブック(自分の障害の特性や、職場に配慮してほしいことをまとめた書類)にしておくと、書類と面接の両方で使えます。
書き方は「ナビゲーションブックの書き方と記入例」にまとめました。
空白期間は、「何もしていなかった期間」ではなく「次に働くために整えていた期間」として書けます。書類の準備ができたら、次の5章で面接での答え方を見ていきましょう。
5. 面接で転職回数・退職理由を聞かれたときの答え方と例文

面接で転職回数や退職理由を聞かれたら、「事実 → 振り返り → 今の対策 → だから続けられる」の順で答えると、話が短くまとまります。
最後を過去ではなく「これから」で締めるのが、この型のねらいです。
職歴が多いと、この質問はまず避けられません。私も特例子会社の面接で、転職や退職理由を聞かれました(1社目は「環境の変化と自己成長のため」と答えています)。
あなたは今、聞かれたときの答えが決まっていますか?
この章では、答えの型、理由ごとの例文、自分の転職回数をどう見ているか聞かれたときの答え方、言わないほうがいいことを順に見ていきます。
5-1. 答えの型:事実 → 振り返り → 今の対策 → だから続けられる
退職理由の答えは、次の4つを順につなげると組み立てやすくなります。
- 事実:なぜ辞めたのかを1文で言う
- 振り返り:そのとき自分の側で何が起きていたかを言う
- 今の対策:同じことが起きないように、今していることを言う
- だから続けられる:どんな職場・配慮なら続けられるかで締める
この順番は、2章で書いた「不安になった職歴」の裏返しになっています。
理由が周りのせいだけ・あいまい、という心配には1と2で、同じ理由をくり返さないかという心配には3と4で答える形です。

4章の書類の書き方と、何が違うんですか?

書類では「事実」と「次はどうするか」の2文でした。面接では、その間に「振り返り」を言葉で足せるところが違います。
まずは辞めた会社ごとに、4つを1文ずつメモに書き出してみてください。声に出して1社1分ほどで言えれば、面接の場でも話が長くなりにくくなります。
5-2. 例文:人間関係で辞めた/仕事内容が合わなかった/短期離職が続いた
5-1の型に当てはめると、辞めた理由ごとに次のような答え方ができます。
ここに載せる3つは、型の使い方を説明するための例で、私の体験ではありません。
例1:人間関係で辞めた場合
- 事実:「前の職場では、困ったことを相談できる相手がおらず、一人で抱えこんで体調を崩し、約8か月で退職しました。」
- 振り返り:「振り返ると、誰にどのタイミングで相談するかを、自分で決めていなかったことも原因の一つでした。」
- 今の対策:「今は就労移行支援で、困ったときに支援員へ伝える練習を続けています。」
- だから続けられる:「相談する相手と方法が決まっている職場なら、同じことをくり返さずに働けると考えています。」
例2からは、4つをつなげて話す形で載せます。
例2:仕事内容が合わなかった場合
「前職は、電話を受けながら入力も進める仕事で、半年で退職しました。働いてみて、二つの作業を同時に進めると、ミスが増えて疲れやすいことが分かりました。今は就労移行支援で、一つずつ順番に進める作業なら、毎日安定してこなせています。入力や書類の整理など、一つの作業に集中できる仕事で長く働きたいです。」

1年未満で辞めたことが何回もあります。1社ずつ説明したほうがいいですか?

次の例3は、何社分かの理由を、共通点1つにまとめて言う形にしています。
例3:短期離職が続いた場合
「この4年で3社に勤め、いずれも1年未満で退職しています。どの会社も、フルタイムで働き始めてすぐに体調を崩したことが共通していました。主治医と相談しながら治療を続け、今は就労移行支援に週5日、10か月通えています。短い勤務時間から始めて、少しずつ延ばせる職場なら、長く働ける見込みです。」
体調を崩して辞めた場合の言い方は、「特例子会社の面接で聞かれる質問と回答例」の2-4にまとめました。
そちらも、出来事で終わらせず「何が分かって、今どう変えたか」で締める形です。
3つとも、最後の1文が「どんな職場なら続けられるか」で終わっています。この最後の1文は、次の6章で書く職場選びの条件にもそのまま使えます。
5-3. 「転職回数をご自身でどう見ていますか」と聞かれたとき
自分の転職回数をどう見ているかを聞かれたら、多いことを認めたうえで、そこから何が分かったかと、今は何が違うかを答えます。
採用する側から見ると、回数を打ち消したり、よい言葉だけに言いかえたりすると、続かなかった理由が見えないまま話が終わってしまいます。
| 答え方の例 | 受け取られやすい印象 |
|---|---|
| 「多いとは思っていません」 | 職歴を客観的に見ていない |
| 「いろいろな経験ができました」だけ | 続かなかった理由が分からない |
| 「多いと思っています」+分かったこと+今の対策 | 自分のことを分かっている |
たとえば、次のような答え方です(これも説明のための例です)。
「5社は多いと、自分でも思っています。どの職場でも、入社直後から苦手な作業が中心だったことが共通していました。今は応募の前に、実際の作業の流れを見学で確かめるようにしています。」
5-1の型を、職歴全体について短く言った形だと考えてみてください。1社ずつの退職理由を整理してあれば、この質問にもそのまま答えられます。
5-4. 言わないほうがいいこと:前の職場の悪口・「もう辞めません」だけの約束
面接で避けたいのは、前の職場の悪口と、根拠のない「もう辞めません」という約束の2つです。
悪口は、2-1の「理由がすべて周りのせい」と同じように受け取られます(先ほどの面接の記事でも取り上げました)。
「もう辞めません」は、気持ちとしては本当でも、それだけでは採用する側が判断する材料になりません。
続けられる根拠になるのは、5-1の型でいう3の「今の対策」と4の「どんな職場なら続けられるか」のほうです。
「もう絶対に辞めません」の代わりに、「今は毎日通えていて、崩れ始めたときの対処も決めています」のように言えます。
「辞めません」と約束するより、「こうすれば続けられる」を具体的に話すほうが、採用する側には伝わります。
答え方が決まったら、次は「同じ理由で辞めない職場」をどう選ぶかです。6章で、職場の選び方を見ていきます。
6. 次こそ長く続けるための職場の選び方

次こそ長く続けるには、自分が辞めたパターンを書き出し、それに合う職場かどうかを入社前に確かめることです。
伝え方を整えても、同じ理由で辞める職場を選んでしまえば、職歴がまた1社増えてしまいます。
「次はどんな会社を選べばいいのか分からない」と迷っていませんか?
この章では、辞めたパターンの書き出し方、入社前に確かめること、元採用担当として見ていた応募の経路の違い、特例子会社という選択肢を順に書いていきます。
6-1. 自分の「辞めたパターン」を書き出す(業務量・人間関係・仕事内容・通勤)
辞めた会社ごとに、業務量・人間関係・仕事内容・通勤の4つで何が起きていたかを書き出してみてください。
1社だけを見ると「たまたま合わなかった」と思えることも、並べると共通点が見えてきます。辞めた理由の振り返りを、次の職場を選ぶ条件に変えるための作業です。
書き出す項目と、次の職場で確かめる条件の対応は、たとえば次のとおりです(書き方を説明するための例です)。
| 項目 | 書き出す問い | 次の職場で確かめる条件 |
|---|---|---|
| 業務量 | 忙しい時期に、何が起きていたか | 忙しい時期と、業務量を相談できる相手 |
| 人間関係 | 誰に、何を相談できなかったか | 相談の窓口や、定期的な面談があるか |
| 仕事内容 | どの作業で疲れたり、ミスが増えたりしたか | 実際の作業の流れ |
| 通勤 | 片道何分で、何時に家を出ていたか | 通勤時間と、時差出勤や在宅勤務の有無 |
書き出して2社以上に出てきた項目があれば、それが次の職場でまっ先に確かめたい条件になります。
6-2. 求人票と面接で確かめること:仕事の中身・忙しい時期・相談先
求人票だけでは分からない仕事の中身・忙しい時期・困ったときの相談先は、面接や入社前の見学で直接確かめます。
採用担当として見てきた中で、入社後に早く辞めた人には「思っていたより業務への要求度が高い」「思っていたより忙しい」「思っていた業務と違う」という共通点がありました(私個人の感覚です)。
応募者から面接で忙しい時期や異動のことを聞かれても、採用する側として印象が悪くなることはありませんでした。
確かめたい点の詳しい中身は、「障害者雇用のデメリット7つ」の6-4と7-2に書いています。
6-1で書き出した条件に合わせて、聞くことを選んでみてください。たとえば次のような聞き方です。
- 業務量:「1日の仕事の流れと、忙しくなる時期を教えていただけますか」
- 人間関係:「体調のことを相談するときは、どなたに伝えることになりますか」
- 仕事内容:「入社後、最初に担当する仕事はどのような内容ですか」
面接のほかにも、入社前にお互いのずれを確かめる場を設けている会社があります。
私が働く特例子会社でも、会社説明会や見学会、入社前の実習、トライアル雇用といった取り組みをしています。
トライアル雇用(障害者トライアル雇用)は、ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、障害のある人を一定期間雇い、適性や、仕事をこなせるかを見極めながら、お互いの理解を深める仕組みです。
会社側には国の助成金の制度があります。
(出典:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」)
求人票に見学や実習のことが書かれていなければ、応募の前に問い合わせてみるのも一つの方法です。
6-3. 元採用担当が見ていた応募ルートの違い:ハローワーク・転職サイト・就労移行支援・ホームページ・社員紹介・エージェント
応募の経路によって、採用する側に見える応募者の印象には違いがありました。ただし、どの経路が有利かは一概に言えません。
職歴の説明を自分で担うか、支援員やエージェントにも支えてもらうかで選ぶ、という見方ができます。
採用担当だったころ、ふだんの募集は、ハローワーク、契約している転職サイト、就労移行支援事業所を通しての応募、会社のホームページ、社員紹介で行っていました。
それでも募集人数が足りないときや、スキルの高い人・部署から具体的な要望があるときに、エージェント(求人の紹介や企業とのやり取りを、担当者が間に入って進める会社)を使うことが多かったです。
経路ごとの印象をまとめると、次のようになります。勤務先の基準ではなく、私個人の感覚です。
| 応募の経路 | 採用担当として感じていた印象 |
|---|---|
| ハローワーク(合同面接会を含む) | 経歴・実績・スキルの幅が広く、障害の程度もさまざま |
| 転職サイト | 応募数がいちばん多い。手軽に応募できる反面、経歴・実績・スキルの幅が広い |
| 就労移行支援事業所 | 障害への理解、支援員のフォロー、継続支援の安心感があった |
| 会社のホームページ | 数は少ないが、企業研究をしている人が多かった |
| 社員紹介 | 入社後の定着が長かった |
| エージェント | 複数の会社を受けていて、条件の比較や交渉をする人が多い。エージェントからの連絡・確認も頻繁だった |

職歴が多い私は、どの経路から応募すればいいですか?

どれが有利とは言えません。上の表は、あくまで私が採用担当として感じていた違いです。
転職回数が多い人から見ると、一般には次のような使い分けが考えられます。
- ハローワーク・転職サイト・ホームページ:職歴の説明は、書類と面接で自分が担う
- 就労移行支援事業所を通す:支援員が企業とやり取りし、入社後も支援員とつながれる事業所が多いので、職歴の説明に不安がある人の支えになりやすい
- エージェント:担当者が間に入り、求人の紹介や条件の調整をしてくれる。条件を比べながら選びたい人に向く一方、担当者とのやり取りは多くなる
相談先としての具体的な使い方は、7章で書いていきます。
6-4. 特例子会社という選択肢
転職回数が多い人にとって、特例子会社は「入社したあとに、合う仕事を探し直せる余地がある」という点で選択肢の一つになります。
特例子会社は社内に複数の業務があるので、最初の配属がしっくりこなくても、合う場所に移れる可能性があるからです。
私の場合、入社して最初の3か月は次のような流れでした。
| 時期 | 部署 | そのときの私 |
|---|---|---|
| 試用期間のはじめ | 経理関係の部署 | 数字はどちらかというと苦手で、正直あまり仕事に興味が持てなかった |
| 3か月目 | 窓口業務の部署 | 異動してから、仕事が楽しくなった |
3か月目の異動は、窓口業務のマネージャーが私のコミュニケーション力を買ってくれたからかもしれません。
指導役の先輩が楽しそうに仕事をしているのを見て、「仕事ってこんなに楽しんでいいんだ」と初めて思えたことを覚えています。
ただ、異動の仕組みは会社によって違います。気になる方は、6-2の聞き方と同じように、面接で異動できるかを聞いてみてください。
職場を選ぶ軸が見えてきたら、次の7章では、一人で抱えずに相談できる先を紹介します。
●特例子会社の仕事の中身や給料、合う人・合わない人は、この記事にまとめています。↓
7. 転職回数が多い人の相談先:転職サイト・エージェントと就労移行支援

相談先は、今の体調と、続かなかった原因をどこまで整理できているかで選びます。
すぐ応募したいなら障害者専門の転職エージェント、原因の整理がまだなら就労移行支援、まずはお金をかけずに話を聞きたいなら公的な窓口です。
職歴の整理も求人選びも、一人で抱えこんでいませんか?相談先を、今の状態に合わせて3つに分けて紹介します。
| 今の状態 | 合いやすい相談先 |
|---|---|
| 体調が整っていて、すぐ応募したい | 障害者専門の転職エージェント(dodaチャレンジ・atGP) |
| 続かなかった原因が、まだ整理できていない | 就労移行支援(atGPジョブトレ・ミラトレ) |
| まずはお金をかけずに相談したい | ハローワークの専門援助部門、障害者就業・生活支援センター |
この章で取り上げる4つの民間サービスは、どれも業界大手で専門性が高く、情報量も多いと感じています。
7-1. 体調が整っていて、すぐ応募したい人:障害者専門の転職サイト・エージェントで職歴の伝え方から相談する
体調が安定していて、すぐにでも応募したい人は、障害者専門の転職エージェントで職歴の伝え方から相談してみてください。
職歴が多いと、どの求人なら書類が通りそうか、一人では見当をつけにくいものです。
エージェントなら担当者が間に入るので、職歴や配慮事項の伝え方を相談しながら応募を進められます。
ここでは、障害者専門の dodaチャレンジと atGP の2つを紹介します。公式サイトで確かめた支援の中身は、次のとおりです。
- dodaチャレンジ:応募書類や面接のアドバイスを受けられる。転職するかまだ決めていない段階の、相談だけでも利用できる
- atGP(アットジーピー):キャリアプランナー(障害のある人の転職に詳しい担当者)が、障害の状態や必要な配慮を企業にうまく伝えられるようにサポートし、模擬面接もある。登録したあと、担当者からの連絡は5営業日が目安

職歴が多いと、登録しても求人を紹介してもらえないのではと心配です。

dodaチャレンジは希望の勤務地によって、atGPは扱っている求人の状況によって、紹介や相談が難しい場合があると公式サイトに書かれています。登録は無料なので、面談で職歴と今の状態を話し、紹介できる求人があるかを聞いてみるのも一つの方法です。
担当者とのやり取りが負担にならないよう、連絡の取り方や頻度は、最初の面談で相談しておくと安心です。
2つの違いや、どちらから使うかの選び方は「精神障害の転職サイトはどっち? atGPとdodaチャレンジの比較」で詳しく比べています。
体調が整っているなら、エージェントは「一人で書類を出し続ける」状態から抜け出すための手段になります。
dodaチャレンジがおすすめな人
- 地方に住んでいて、オンラインや電話で相談したい
- 応募書類や面接の準備から相談したい
- 転職するかどうか、まだ決めきれていない
まずは職歴をそのまま話して、紹介できる求人があるかを聞いてみてください。
※運営はパーソルダイバース株式会社。相談や応募、転職先が決まるかどうかにかかわらず、料金はかかりません。面談はオンラインや電話などで受けられます。
atGPがおすすめな人
- 必要な配慮を、企業にうまく伝えられるか不安
- 模擬面接で、退職理由の答え方を練習したい
- 対面でじっくり相談したい
職歴と配慮の伝え方を、面談で一緒に整理するところから始められます。
※運営は株式会社ゼネラルパートナーズ。利用は無料です。面談はオンライン・電話・対面から選べます(約1〜2時間が目安)。
7-2. 続かなかった原因がまだ整理できていない人:就労移行支援で整理してから応募する
辞めた理由を聞かれると言葉に詰まる。毎日通える体調か、まだ自信がない。
そんな段階なら、就労移行支援で整理してから応募する道があります。
毎日通う練習をしながら、支援員と一緒に、続かなかった原因や配慮事項を言葉にしていけるからです。

就労移行支援に通うと、そのぶん就職が遅くなりませんか?

私の場合は、約3か月通って、フルタイムで働ける体力と仕事の感覚を少しずつ取り戻しました。いま思えば、ここを飛ばして直接就職していたら、続かなかったと思います。
当時は100%近い出席率で安定して通所できていたので、特例子会社には最初からフルタイム勤務で入社できました。
ここで紹介するのは、atGPジョブトレとミラトレの2つです。
- atGPジョブトレ:atGPと同じ会社が運営。見学では、実際の訓練の様子を見られる。コースによって通える事業所が違う
- ミラトレ:dodaチャレンジと同じ会社が運営。職場を再現した訓練(公式サイトでは「擬似就労」)を取り入れている
どちらも事業所のある地域が限られるので、通える範囲にあるかを先に見ておいてください。
そもそも就労移行支援が自分に向いているのか迷う方は、「就労移行支援はやめとけ、は半分正解」が参考になります。
向いている人・向いていない人の特徴を、2回利用した立場から分けて書いています。
遠回りに見えても、原因を整理してから応募したほうが、面接で話せることは増えていきます。
atGPジョブトレがおすすめな人
- 受けたいコースの事業所に通える
- 毎日通う練習をしながら、続かなかった原因を整理したい
- 訓練の様子を見学で確かめてから決めたい
見学では、実際の訓練の様子を見てから決められます。
※運営は株式会社ゼネラルパートナーズ。相談・見学は無料です。事業所は首都圏(秋葉原・大手町・お茶の水・横浜など)と名古屋・梅田にあります。
ミラトレがおすすめな人
- 通える範囲に事業所がある
- 職場を再現した訓練で、働くリズムを取り戻したい
- 仕事に近い形で、自分に合う作業と合わない作業を確かめたい
まずは資料請求か相談から始められます。
※運営はパーソルダイバース株式会社。公式サイトから資料請求や相談・見学を申し込めます。事業所は東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・兵庫にあります(2026年10月時点)。
7-3. お金をかけずに相談できる公的な窓口:ハローワークの専門援助部門・障害者就業・生活支援センター
まずは無料で話を聞きたいなら、ハローワークの専門援助部門と、障害者就業・生活支援センターという公的な窓口があります。
ハローワークでは、就職を希望する障害のある人の求職登録を行い、専門の職員や職業相談員が、障害の種類や程度に合わせた職業相談・紹介から、就職後の職場定着の指導までを行っています。
(出典:厚生労働省「障害者の方への施策」)
障害のある人向けの窓口は、「専門援助部門」などの名前で設けられています。たとえばハローワーク四日市では、利用について次のように案内しています。
- はじめての登録は、住んでいる地域を受け持つハローワークで行う
- 障害者手帳があれば持っていく
- 相談の内容によっては、主治医の意見書をお願いする場合がある
(出典:ハローワーク四日市「障がいのある方」)
障害者就業・生活支援センターは、障害のある人の身近な地域で、仕事の面と生活の面をまとめて支援する窓口です。2026年4月1日時点で、全国に340か所あります。
(出典:厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」)
手続きや持ち物は窓口ごとに違うので、行く前に、住んでいる地域のハローワークやセンターのページで案内を見ておくと安心です。
どちらも全国にあり、住んでいる地域の窓口を使えます。次は、転職回数についてよく聞かれる質問に答えていきます。
8. よくある質問

転職回数について、よく聞かれる質問に短く答えます。くわしい説明がある章もあわせて案内するので、気になる質問から読んでみてください。
Q1. 転職回数は何回から「多い」と見られますか
何回から多いという公的な基準はありません。社数を数えるより先に、1年未満の在籍が続いていないかを、自分の職歴で見てみてください。
職歴の例ごとの見え方は、記事のはじめのほう(1-1)の表で紹介しました。
Q2. 発達障害で転職回数が多いと不利になりますか
発達障害だから、転職回数がより不利に見られるとは言い切れません。
1-3で紹介した調査でも、発達障害のある人の就職後1年の定着率は、ほかの障害と比べて低くありませんでした。
見られやすいのは障害の種類より、辞めた理由と今の対策です。特性に合う仕事を伝える答え方は、面接の例文(例2)が参考になります。
Q3. 転職回数が10回以上でも、障害者雇用で就職できますか
私自身は10回以上の転職を経験していないので、一般的な話として答えます。
回数だけで決まるとは限りませんが、社数が多いほど、辞めた理由と今の安定を書類と面接ではっきり示す必要が出てきます。
準備の進め方は、相談先の章(7-2)で紹介しました。
Q4. 一般雇用で短期離職した会社に、障害者雇用で入り直せますか
一概には言えません。退職した人からの応募をどう扱うかは、会社によって考え方が違うためです。
応募するなら、前回との違い(障害を伝え、配慮を受けながら働くことなど)を、退職理由の答えの型で説明できるようにしておいてください。
受け付けているかどうかは、ハローワークやエージェントの担当者を通して確かめる方法もありますよ。
Q5. 職歴が多いので、一部を書かずに応募してもいいですか
おすすめはしません。省いた期間は、書類の上では空白に見えるからです。
すべて書いたうえで見せ方を変える方法は、履歴書・職務経歴書の章(4-1・4-2)にまとめています。
Q6. エージェント経由と直接応募、どちらが採用されやすいですか
どちらが採用されやすいかより、自分に向いているかで選んでみてください。
たとえば、条件を比べながら選びたいのか、行きたい会社が決まっているのかでも、合う経路は変わります。
採用担当として感じていた経路ごとの違いは、職場の選び方の章(6-3)に書きました。
まとめ

これまでの転職回数は、あとから変えられません。
それでも、職歴の伝え方と次の職場の選び方は、今日から変えられます。
採用担当だったころ、職歴が多くても「この人は大丈夫そう」と思えたのは、続かなかった原因を自分の言葉で説明できる人でした。
一般雇用の3社すべてで体調を崩した私も、働き方の枠組みを変えて、特例子会社で13年働き続けています。
この記事の要点は、次の4つです。
- 採用側が見ているのは回数より「次は続くか」。在籍期間・辞めた理由・今の体調の安定の3つ
- 職歴は省かずに書き、長く続いた仕事を厚く、短い職歴は簡潔にまとめる
- 退職理由は「事実 → 振り返り → 今の対策 → だから続けられる」の順で答える
- 辞めたパターンを書き出し、仕事の中身・忙しい時期・相談先を入社前に確かめる
職歴の整理を一人で進めるのが難しければ、相談先を頼ってみてください。体調が整っているなら、転職エージェントの面談で職歴をそのまま話すところから始められます。
職歴の伝え方から相談できるので、次の応募の前の一歩にどうぞ。
※運営はパーソルダイバース株式会社。相談や応募、転職先が決まるかどうかにかかわらず、料金はかかりません。面談はオンラインや電話などで受けられます。
●原因の整理から始めたい方は、就労移行支援が自分に向いているかを、この記事で確かめてみてください。↓





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