特例子会社のリアル、実際どう?|現職障害当事者がぶっちゃけ経験談を語る 

特例子会社
  1. はじめに
  2. 特例子会社とは?基本の仕組みと2026年7月法改正で変わること
    1. 1-1. 特例子会社の定義と認定要件
    2. 1-2. 全国614社という現在地と増加ペース
    3. 1-3. 2026年7月の法定雇用率引き上げが求人動向に与える影響
    4. 1-4. (参考)グループ適用について少しだけ解説
  3. 2. 特例子会社での働き方のリアル――業務内容と1日の流れ
    1. 2-1. 実際に多い業務
    2. 2-2. 配慮される点
    3. 2-3. 一般企業の障害者雇用との業務の違い
  4. 3. 給料・年収のリアル:なぜ安いと言われるのか?
    1. 3-1. 実際の年収分布
    2. 3-2. 給料が上がりにくい構造的な理由
    3. 3-3. 正社員化・昇給の実例と、給料アップのための現実的な選択肢
  5. 4. メリット・デメリットを本音で整理する
    1. 4-1. メリット:配慮の手厚さ、安定性、同じ立場の同僚がいる安心感
    2. 4-2. デメリット:キャリアの幅の狭さ、スキルアップの機会の少なさ
    3. 4-3. 「合う人・合わない人」の見極め方
  6. 5. 精神障害・発達障害を持つ人にとっての特例子会社のリアル(体験談章)
    1. 5-1. 障害種別ごとの雇用者数の変化
    2. 5-2. 現職者・元職者のリアルな声
    3. 5-3. 一次体験に基づく「入社前に知っておきたかったこと」
  7. 6. 「辞めたい」と感じたときに知っておきたいこと
    1. 6-1. 辞めたいと感じる主な理由
    2. 6-2. 辞める前に確認すべきこと
    3. 6-3. 転職時に特例子会社での経験はどう評価されるか
  8. 7. 【人事担当者向け】採用・定着のために知っておきたい求職者の本音
    1. 7-1. 求職者が本当に見ている条件
    2. 7-2. 定着率を左右する配置転換・面談の運用実態
    3. 7-3. 2026年法改正を見据えた採用戦略のヒント
  9. 8. 特例子会社 vs 一般企業の障害者雇用、どちらを選ぶべきか
    1. 8-1. 判断軸①:働きたい職種の専門性
    2. 8-2. 判断軸②:配慮の必要度合いと環境変化への耐性
    3. 8-3. 判断軸③:将来のキャリアプラン
  10. 9. よくある質問(Q&A)
    1. Q. 特例子会社で働く健常者はいる?その役割は?
    2. Q. 特例子会社の経験は転職で社会人経験として認められる?
    3. Q. 特例子会社は本当に「厳しい」「軍隊のよう」なのか?
    4. Q. 特例子会社を辞めた後、キャリアはどうなる?
  11. まとめ
    1. 「リアル」を知った上で、読者自身が納得のいく選択をするための後押し

はじめに

特例子会社って、給料は本当に上がるの?人間関係はきついの?この先のキャリアはどうなるの?そんな不安を抱えながら検索していませんか?

この記事では、特例子会社で13年間働き続け、採用担当も経験した私が、当事者と企業側の両方の視点からリアルな実態を解説します。

読み終える頃には、ネットの断片的な情報に振り回されず、自分にとって特例子会社が本当に合うのかどうかを、自分の言葉で判断できるようになっているはずです。

特例子会社とは?基本の仕組みと2026年7月法改正で変わること

「特例子会社」という言葉は知っていても、認定条件まで詳しく知っている人は少ないんじゃないでしょうか。実は今、この制度が大きな転換点を迎えています。私が働く会社を例に、仕組みと法改正の中身を一緒に見ていきましょう。

1-1. 特例子会社の定義と認定要件

結論から言うと、特例子会社とは「障害のある人の雇用に特別な配慮をした子会社」として、厚生労働大臣の認定を受けた会社のことです。認定を受けると、そこで働く障害者を親会社の雇用者数としてカウントできる仕組みになっています。

なぜこんな制度があるかというと、単体の企業では業務内容や設備の制約から十分な雇用が難しいケースがあるからなんですよね。そこで別会社化することで、障害特性に合わせた業務設計や職場環境を整えやすくしているわけです。

認定を受けるには、いくつかの条件をクリアする必要があります。

  • 親会社が子会社の意思決定機関(株主総会など)を支配していること
  • 役員派遣や従業員出向など、親会社との人的関係が密であること
  • 雇用する障害者が5人以上、かつ全従業員の20%以上を占めること
  • そのうち重度身体障害者・知的障害者・精神障害者の合計が30%以上であること

(出典:厚生労働省「『特例子会社』制度の概要」

私が働く会社の場合、この障害者比率は約70%です。法律で求められる30%という水準からするとかなり高い数字なんですが、これくらいの比率になると社内の雰囲気も自然と「障害があることが前提」の空気になってきます。もう少し詳しい仕組みとして、複数の関係会社を巻き込んだ「グループ適用」という制度もあるのですが、これについては1-4で改めて触れますね。

1-2. 全国614社という現在地と増加ペース

今、日本には614社の特例子会社があります。これは令和6年6月1日時点の数字で、前年から16社増えました(出典:厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」)。

この数字だけ見ると「そこまで多くない」と感じるかもしれません。ただ2004年時点ではわずか153社だったことを考えると、20年間で4倍以上に増えていることになるんです。法定雇用率の引き上げが繰り返されるたびに、特例子会社を新設する企業が増えてきた結果だと私は見ています。

採用担当をしていた立場から言うと、この増加ペースは求職者にとって単純に「選択肢が増えている」ということでもあります。10年前と比べて、業種も職種もかなり幅が広がってきた印象がありますよ。

1-3. 2026年7月の法定雇用率引き上げが求人動向に与える影響

2026年7月から、民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられました。同時に、対象となる事業主の範囲も「常用労働者40人以上」から「37.5人以上」へと広がる予定です(出典:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)。

これがなぜ重要かというと、これまで雇用義務がなかった規模の企業まで、新たに障害者を1人以上雇う必要が出てくるからなんです。単純計算で、常用労働者数125人の会社であれば、これまでの2.5%基準では3人だった法定雇用障害者数が、2.7%基準でも同じく3人となるケースもありますが、37.5人〜40人規模の会社にとっては「今まで対象外だったのに、急に1人分の採用義務が発生する」という変化になります。

実際に採用の現場にいた感覚で言うと、法改正の半年〜1年前くらいから、これまで障害者雇用に消極的だった企業からの求人が明らかに増えてきます。今後もこの流れは続くはずなので、これから就職・転職を考えている方にとっては、選べる求人の幅が広がっていくタイミングだと捉えてもらってよいと思いますよ。

1-4. (参考)グループ適用について少しだけ解説

先ほど少し触れた「グループ適用」について、簡単に補足しておきます。これは、特例子会社を持つ親会社が、その特例子会社だけでなく、関係する他の子会社群も含めたグループ全体で障害者の実雇用率を合算できる仕組みのことです(出典:厚生労働省「『特例子会社』制度の概要」)。

つまり、特例子会社1社の数字だけでなく、グループ企業全体の障害者雇用の取り組みを一体として評価できるようになっているんですね。この制度があるおかげで、企業グループ全体としての障害者雇用戦略が立てやすくなっている、という背景があります。

ここまでは制度の枠組みの話でしたが、「じゃあ実際にそこで働くとどんな1日になるのか」が気になりますよね。次の章では、私自身が経験してきた業務内容と、特例子会社ならではの働き方のリアルをお伝えしていきます。

2. 特例子会社での働き方のリアル――業務内容と1日の流れ

「特例子会社って、実際どんな1日を過ごしているんだろう?」と気になっている人、多いんじゃないでしょうか。ここでは業務内容の一般的な傾向と、私自身が経験してきた働き方の両方から、そのリアルをお伝えしていきます。

2-1. 実際に多い業務

まず業務内容についてですが、特例子会社の仕事は会社によってかなり幅があります。ネット上でよく紹介されている情報では、データ入力や書類の電子化といった事務補助、社内の清掃・環境整備、軽作業や梱包作業などが「特例子会社の定番業務」として挙げられることが多いんですよね。これらの業務が定型化しやすく、障害特性に合わせて分担しやすいからだと説明されています。

私の会社の場合は、少し事情が違います。親会社やグループ適用(特例子会社を持つ親会社が、関係する他の子会社も含めてグループ全体で実雇用率を算定できる仕組みのこと)されているグループ会社の事業領域がかなり広いんですよ。そのため、親会社・グループ会社の業務を部門ごと切り出して受託するケースが多く、私自身、13年間のうちに次のような部署を経験させてもらいました。

  • 総務・経理
  • 店舗の運営・運用・管理
  • 社員窓口業務
  • 人事・採用

たとえば人事・採用チームにいた時期は、平日はこんなスケジュールで動いていました。

  • 9:00 始業、メールチェック
  • 9:15 チーム内朝礼
  • 10:00 応募者対応・オンライン面接のアテンド
  • 12:00 ランチ休憩
  • 13:00 説明会・見学会の準備
  • 14:30 面接調整・支援機関とのやり取り
  • 16:00 チーム内夕礼
  • 17:30 退社

こうして並べてみると、一般企業の事務職とほとんど変わらないスケジュールに見えませんか?その部署内で新人教育やメンター役を任されたり、希望すれば親会社側のプロジェクトに参加させてもらえたりする会社もあります。私自身、起業家応援プロジェクトに参加させてもらった経験があるのですが、これは入社時点では想像もしていなかった展開でした。

つまり、「特例子会社=軽作業中心」というイメージだけで判断するのはもったいないということなんです。会社によって業務の幅は大きく変わってきます。

2-2. 配慮される点

次に、配慮の面を見ていきましょう。一般的に語られる配慮としては、通院のための休暇取得のしやすさ、短時間勤務からのスタート、業務内容や勤務地の変化が少ないことなどがよく挙げられますよね。

私の会社の場合、通院のための休暇は社内制度として明確に保障されていて、取得することに引け目を感じる空気は一切ありません。他にも短時間勤務からスタートできるトライアル雇用、転勤なし、環境変化の少ない業務への配置、企業在籍型ジョブコーチ・精神保健福祉士・社会福祉士などの資格を持った支援員の定期面談など、いくつもの配慮が実際に用意されています。

  • 通院休暇(制度として明文化されている)
  • 短時間勤務からのトライアル雇用
  • 転勤なし
  • 環境変化の少ない業務への配置
  • 支援員による定期面談(企業在籍型ジョブコーチ・精神保健福祉士・社会福祉士等の有資格者)

あなたも「配慮してもらうのが申し訳ない」と感じたことはありませんか?私も最初はそうだったんですが、こうした制度が当たり前になっている環境だと、その気持ちは自然と薄れていくものなんですよ。

2-3. 一般企業の障害者雇用との業務の違い

ここでは、一般企業の障害者雇用枠と比較しながら整理してみます。一般企業の障害者雇用は周りが健常者中心の環境で働くことが多く、設備や配慮の深さも配属先次第でバラつきがあると言われています。一方の特例子会社は、最初から障害があることを前提に設計された環境なので、周囲の理解や設備面の安心感を得やすい傾向にあるんですよね。

両者の違いを整理すると、こんな感じになります。

比較項目特例子会社一般企業(障害者雇用枠)
人間関係障害への理解が深い同僚が多い理解の深さは配属先・個人差による
業務の性質定型業務・分業化が進んでいる本業に近く変化のある業務が多い
心理的負担配慮が前提のため比較的少ない自ら配慮を求める場面が出やすい
キャリアの方向性特定領域での専門性を積み上げやすい一般社員に近いスキルが身につきやすい

採用担当をしていた頃に集めていた情報でも、この傾向はおおむね一致していました。配属部署によって任される業務の重さがかなり変わるようで、同じ「障害者雇用」という枠でも、実態はケースバイケースなんですよね。

私の会社の場合は、周りにも障害を持つ同僚が多く、会社全体として親会社の業務を受託する事例がほとんどです。この違いは、たとえば急な体調変化を周囲にどう伝えるか、休みを取るときにどれくらい気を使うかといった、日々の細かなストレスの量に直結してきます。

体調管理を最優先にしたい人には特例子会社の環境が合いやすいですし、社会の真ん中で働いている実感を得たい人、業務の幅を自分で広げていきたい人には一般企業の障害者雇用枠のほうがしっくりくることもあると思います。どちらが正解ということではなく、今の自分の状態に何が必要かで景色が変わってくるんですよね。

働き方のイメージが掴めたところで、次に気になるのはやっぱり「給料」の話だと思います。次の章では、多くのサイトで「低い」と言われがちな給与の実態について、私自身の数字も交えてお伝えしていきます。

3. 給料・年収のリアル:なぜ安いと言われるのか?

「特例子会社は給料が低い」「生活できない」――検索するとこういう言葉が並んでいて、不安になった人も多いんじゃないでしょうか。ここでは一般的なデータと、私の会社の実際の数字の両方から、給与のリアルをお伝えします。

3-1. 実際の年収分布

まず一般的な話からすると、特例子会社で働く人の平均年収は「151〜200万円」が33.8%ともっとも多く、次いで「201〜250万円」が26.3%、「101〜150万円」が19.7%という調査結果があります(出典:野村総合研究所「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査 調査結果」2018年12月)。厚生労働省の令和5年度調査でも、身体障害者の週所定労働時間別平均賃金は月23万5千円前後とされていて、年収換算すると280万円台になります(出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」)。多くのサイトで「低い」「安い」と書かれているのは、こうした数字が背景にあるからなんですよね。

ただ、この記事を読んでくれているあなたには、こんな特例子会社もあるよという一つの事例として、私の会社の実情もお伝えしたいと思います。私の会社の場合、前職の経験や年数にもよりますが、平均年収250〜300万円からスタートして、平社員レベルでも400〜450万円くらいまで昇給する人は普通にいます(賞与を含んだ年収です)。これとは別に残業代も付くので、それ以上になるケースもあるんですよ。

さらにリーダー、マネージャーと昇進していけば、もっと高い給料を目指せる仕組みになっています。採用担当をしていた頃、内定者から他社との給与比較交渉で引き合いに出される機会が何度もあったのですが、その中でも水準が高いと感じたのは大手外資系、IT企業、メーカー、ゼネコン、財閥系でした。

  • 平社員:250〜450万円前後(前職経験・年数による、賞与込み)
  • 残業代:別途支給
  • 賞与:支給あり(上記年収に含む)
  • リーダー・マネージャー:さらに上を目指せる

もちろん、それだけの給料をもらう以上、一般雇用と変わらない仕事の質・量が求められることがほとんどです。給与が高いということは、それに見合う責任も引き受けるという交換条件になっている場合が多いと思ってもらった方がいいですよ。

あとは、自分がどこを目指したいかによっても答えは変わってくるはずです。給与は低くても安定・継続・配慮を重視したいのか、それとも体調が安定しているのでどんどん上を目指していきたいのか。この軸で考えると、自分に合う会社選びがしやすくなるんじゃないかと思います。

3-2. 給料が上がりにくい構造的な理由

求人票を眺めていると、定型業務や補助業務中心の求人、契約社員やパートといった非正規雇用の求人をよく見かけますよね。この傾向自体は、私も採用担当として求人票を見比べていて実感していた部分です。給与水準が上がりにくい背景には、業務の専門性が低く設定されがちなことや、非正規雇用比率の高さが関係していると考えられています。

私の会社のように正社員登用や段階的な昇給制度をしっかり整えているケースは、正直なところ珍しい部類に入るかもしれません。だからこそ、待遇の良い特例子会社を目指すのであれば、就職活動の段階から工夫をした方がいいと私は思います。

具体的には、IT・Web・AI系に特化した就労移行支援事業所を選んだり、そうした業界に強いエージェントを活用したりするのが近道になりやすいです。業界特性上、専門スキルを評価する文化が根付いている会社ほど、給与テーブルも高めに設定されている傾向があるんですよね。

3-3. 正社員化・昇給の実例と、給料アップのための現実的な選択肢

給料を上げていくための現実的なルートについても、私の会社を一例としてお話しします。当社の場合、最初からフルタイムで勤務が難しい方向けに、まずはトライアル雇用を利用し、6時間勤務・3か月間の双方お試し期間からスタートするケースもあります。フルタイムからスタートする場合も、まずは契約社員として入社し、そこから正社員登用される人が割合的には大多数です。

昇給については、目標の達成度や日々の行動・態度といった評価項目に基づいて、段階的に決まっていく制度になっています。一度の評価で大きく跳ね上がるわけではありませんが、コツコツと積み重ねていける仕組みだと感じています。ぶっちゃけ、親会社や一般企業の昇給幅に比べてしまうと、物足りなさを感じてしまう人もいますが…笑。

キャリアの方向性についても選択肢が用意されていて、リーダーやマネージャーを目指して昇進していくコースもあれば、特定の業務領域で専門性を突き詰めていくコースを選ぶこともできます。あなたなら、どちらのコースに魅力を感じますか?

給与の実態が見えてきたところで、次はメリット・デメリットを整理して、特例子会社が「自分に合うかどうか」を判断する材料をお伝えしていきます。

4. メリット・デメリットを本音で整理する

特例子会社について調べていると、メリットもデメリットも山ほど出てきて、結局どっちなんだろうと迷ってしまいませんか?ここでは一般的に言われている内容を整理しつつ、ここまでお伝えしてきた私自身の実例も振り返りながら、本音でまとめていきます。

4-1. メリット:配慮の手厚さ、安定性、同じ立場の同僚がいる安心感

一般的に語られる特例子会社のメリットとしては、体調に合わせた配慮を受けやすいこと、雇用が安定していること、周囲に同じ立場の人が多く安心感があることの3点がよく挙げられます。障害があることを前提に会社が設計されているので、こうした配慮が「特別扱い」ではなく標準装備になっているんですよね。

私の会社で言うと、先ほどまでの章でお伝えしてきた内容がそのままメリットの具体例になります。障害者比率約70%という環境、通院休暇や転勤なしといった制度、6時間勤務・3か月間のトライアル雇用からスタートできる仕組み、そして契約社員から正社員へ登用される人が大多数を占めている実績。こうした要素が積み重なって、「長く働き続けられる」という安心感につながっているんです。

  • 障害者比率が高く、理解のある同僚が多い環境
  • 通院休暇・転勤なしなど制度としての配慮
  • トライアル雇用からの段階的なスタートが可能
  • 正社員登用の実績が大多数

あなたも、職場で自分の体調を気にせず過ごせる時間があったらいいな、または体調に合わせて配慮事項を気兼ねなく相談できる環境があったらいいなと思ったことはありませんか?私自身、一般雇用で働いていた頃はそれができなくて苦しんでいたので、この環境のありがたみは人一倍感じているんです。

4-2. デメリット:キャリアの幅の狭さ、スキルアップの機会の少なさ

一方でデメリットとしてよく挙げられるのが、キャリアの幅が狭くなりやすいこと、スキルアップの機会が限られやすいことです。第3章でも触れた通り、定型業務や補助業務が中心になりやすい構造上、専門性を積み上げにくい面があるのは事実だと思います。

私の会社の場合、総務・経理・店舗運営・人事採用と幅広い部署を経験させてもらえたり、起業家応援プロジェクトに参加できたりと、業務の幅は比較的広い方だと自分でも感じています。それでも正直に言うと、段階的な昇給制度は目標達成度や行動・態度といった評価に基づくため、親会社や一般企業の昇給幅と比べると物足りなさを感じる場面があるのも事実なんですよね。

  • 業務内容が定型化・分業化されやすい会社が多い
  • 一般雇用と比べてスキルアップの機会が少ない傾向
  • 会社によってはキャリアパスの選択肢が限定的
  • 昇給ペースが親会社基準と比べると緩やかになりがち

正直、最初はこのあたりのギャップに戸惑う人も少なくないはずです。入社前にどこまで業務の幅が広がりそうか、面接や見学の段階で確認しておくと後悔しにくいと思いますよ。

4-3. 「合う人・合わない人」の見極め方

ここまでのメリット・デメリットを踏まえると、特例子会社が合うかどうかは、結局のところ「今の自分が何を優先したいか」で決まってくるんです。体調管理を最優先にしたい人、安定した環境でコツコツ働き続けたい人には、通院休暇やトライアル雇用といった仕組みがかなり相性がいいはずです。

逆に、業務の幅を自分でどんどん広げていきたい人や、親会社並みのスピード感で昇進・昇給を目指したい人にとっては、物足りなさを感じる場面が出てくるかもしれません。私の場合はリーダー・マネージャーを目指す昇進コースと、専門性を突き詰めるコースの両方が用意されている環境だったので、自分に合う方向を選べたことが長く続けられた理由の一つだと思っています。

  • 体調の安定を最優先したい → 特例子会社の制度が合いやすい
  • 専門性やスピード感のあるキャリアアップを重視したい → 一般企業の障害者雇用枠も検討の価値あり
  • 同じ立場の仲間との安心感を求めている → 特例子会社が合いやすい
  • 昇進コース・専門性コースなど選択肢の有無を確認したい → 面接や見学の段階で聞いてみる

どちらが正解ということではなく、自分の今の状態と照らし合わせて選ぶことが結局は一番の近道になると私は思っています

メリット・デメリットの整理ができたところで、次は精神障害・発達障害を持つ人にとっての特例子会社のリアルを、私自身の体験談を交えてお伝えしていきます。

5. 精神障害・発達障害を持つ人にとっての特例子会社のリアル(体験談章)

ここからは、精神障害・発達障害を持つ人にとって特例子会社がどんな存在なのか、私自身の経験を交えてお伝えしていきます。同じような状況にいる方には、特に読んでもらいたい章です。

5-1. 障害種別ごとの雇用者数の変化

まず統計から見ていくと、今もっとも雇用が伸びているのは精神障害者です。令和6年6月1日時点のデータでは、身体障害者が368,949.0人(対前年比2.4%増)、知的障害者が157,795.5人(同4.0%増)であるのに対し、精神障害者は150,717.0人で対前年比15.7%増と、突出した伸びを見せています(出典:厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」)。

数字だけ見ると、身体・知的障害者の人数にはまだ届いていないものの、伸び率の違いは一目瞭然ですよね。特例子会社の中でも、以前は知的障害者や身体障害者の割合が多い会社が中心でしたが、今は精神障害者の採用に本格的に取り組む会社が増えてきています。

私の会社でも、障害のある社員のうち精神障害者が占める割合は10年前と比べて確実に伸びてきており、今では知的・身体障害者との割合が逆転し、精神障害者が7割近くを占めるまでになりました。

つまり、これから精神障害者手帳を持って就職・転職を考えている人にとっては、選べる求人の幅がまさに今、広がっているタイミングだということなんです。さらに法定雇用率の引き上げも、この流れを後押ししていますね。

5-2. 現職者・元職者のリアルな声

ここでは、私自身の体験をお話しさせてください。私の診断名は双極性障害(気分が高揚する躁状態と、気分が落ち込むうつ状態を繰り返す病気)です。

一般雇用で働いていた頃、私は中小企業の管理部にいました。中小企業あるあるだと思うのですが、人事・採用・労務・法務・総務・ファシリティ・経理・PCサポート・車両管理・ビル管理といったバックオフィス業務のほぼ全てを、たった5人で担っていたんです(笑えないくらい大変でした)。

業務範囲が広すぎて覚えることが膨大な上、高圧的な本部長のもとで管理職育成の厳しい指導を受けながら、未経験の事務職へ職種変更したばかりということもあり、精神的にかなり追い込まれていったんですよね。当時は本当にきつくて、体も心もボロボロになり、最終的にメンタルを崩して休職することになりました。皮肉なことに、その時に身につけた幅広い知識が、今思えば後々の仕事の土台になってくれています。

休職中、担当医の勧めで精神障害者保健福祉手帳を取得し、障害者雇用という選択肢があることを初めて知りました。当時の中小企業にはブラック企業やベンチャー企業も多く、そのまま復職・転職しても同じ道を辿る可能性が高い、それよりも障害者雇用をしている大企業の方が自分のペースで働きやすいのではないか――担当医からはそんな提案をもらったんです。この担当医の病院には今も継続して通っていて、あの時の判断には今でも本当に感謝しています。

入社した特例子会社では、とにかく焦らず半歩ずつ、まずは会社に慣れること、継続して安定的に勤務することを心がけました。あなたも、頑張りすぎて体調を崩した経験、ありませんか?私はこの半歩ずつという感覚を覚えてから、ようやく13年間続けられる働き方に出会えた気がしています。

5-3. 一次体験に基づく「入社前に知っておきたかったこと」

最後に、私が入社前に知っておきたかったことをお伝えします。まず大前提として、入社後のミスマッチは誰にとっても避けたいものですよね。私の会社では、オンライン会社説明会、社内見学会、入社前実習、トライアル雇用など、正式採用前にお互いの理解を深める取り組みをいくつも用意しています。

  • オンライン会社説明会
  • 社内見学会
  • 入社前実習
  • トライアル雇用(6時間勤務・3か月間)

こうした機会を積極的に活用して、実際の職場の空気や業務の進め方を事前に体感しておくと、入社後のギャップをかなり減らせるはずです。

もう一つ、これは入社してから気づいたことなんですが、福利厚生面もぜひチェックしてほしいポイントです。私の会社には社員食堂がありますが、会社によっては置き型社食や宅配・デリバリー型のサービスを導入しているところもありますよね。給与の額面だけを見ていると見落としがちですが、こうした制度は長い目で見ると健康維持の面で将来的な財産になると私は感じているんですよね。

体験談を踏まえたところで、次は「辞めたい」と感じたときにどう考えればいいか、リアルな声をもとに整理していきます。

6. 「辞めたい」と感じたときに知っておきたいこと

特例子会社で働いていても、「辞めたい」と一度も思ったことがない人の方が少ないんじゃないでしょうか。ここでは辞めたくなる理由と、辞める前に確認しておきたいこと、転職時の評価について、私の経験も交えてお伝えします。

6-1. 辞めたいと感じる主な理由

特例子会社を辞めたいと感じる理由として多いのは、給料への不満、人間関係のストレス、仕事内容への物足りなさの3つです。ここまでの章でお伝えしてきた通り、業務が定型化しやすく昇給ペースも緩やかになりがちなので、こうした不満が積み重なっていくのは自然な流れだと思います。

  • 給料が思うように上がらないことへの不満
  • 職場の人間関係によるストレス
  • 業務内容への物足りなさ、スキルアップできない焦り
  • 将来のキャリアが見えないことへの不安

私自身も、13年間の中で「辞めたい」と思った瞬間は何度もありました。あなたも、同じような気持ちになったことがあるんじゃないでしょうか。

6-2. 辞める前に確認すべきこと

辞めたいと思った時、まず確認してほしいのが人間関係と異動の可能性です。私の場合、辞めたいと感じた時にいつもストッパーになってくれたのが、周りの人間関係でした。特例子会社という環境特有なのか、精神障害の方が多いからなのか、私の会社は繊細で穏やかな人が多いんです。

親会社やグループ会社から業務委託を受けているという特性上、関連する他事業部との関わりも多く、私自身グループ会社への出向を経験したことで、外から見ても自分の会社の人間関係の良さがよくわかりました。体調不良での休みや休職にも寛容な空気があり、これも長く続けられている理由の一つです。

もう一つ確認してほしいのが、異動の可能性です。親会社やグループ会社、社内の他部署への異動は、前向きな理由であれば受け入れてもらえることが多いんですよね。辞めようと思った時に一度相談してみると、実は異動という選択肢が見えてくる場合もあります。

  • 今の人間関係は本当に「辞める理由」になっているか
  • 体調不良時の休み・休職制度をどこまで使えているか
  • 部署異動やグループ会社への異動を相談したことがあるか
  • 辞める前に人事や上長に率直に話してみたか

辞める決断は一度してしまうと取り消せません。だからこそ、辞める前にできることが本当にないか、一度立ち止まって確認してみてほしいんです。

6-3. 転職時に特例子会社での経験はどう評価されるか

Yahoo!知恵袋を見ていると、「特例子会社での経験は社会人経験として評価されるのか」「一般企業への転職は不利になるのではないか」といった不安の声が数多く見られます。特例子会社の業務はデータ入力のような定型業務が中心になりやすいため、この不安を持つのは自然なことだと思います。

一方で、正社員として複数年勤続していることや、チームでの業務遂行経験そのものは、転職市場でもきちんと評価対象になるという意見も見られます。結局のところ、業務内容をどう職務経歴書や面接で伝えるかによって、評価のされ方はかなり変わってくるようです。

  • 勤続年数・雇用形態(正社員かどうか)
  • 担当した業務の幅(複数部署の経験があるか)
  • 数字や成果として語れるエピソードの有無
  • 面接での伝え方・アピールの工夫

情報源:Yahoo!知恵袋/Google検索

辞めたいと感じた時の考え方が整理できたところで、次は人事担当者に向けて、求職者のリアルな本音と定着のための工夫をお伝えしていきます。

7. 【人事担当者向け】採用・定着のために知っておきたい求職者の本音

ここまでは求職者目線でお伝えしてきましたが、この章は少し視点を変えて、法定雇用率対応で特例子会社の設立・運営を検討している人事担当者の方に向けてお話しします。私自身、当事者でありながら採用担当も経験してきたからこそ見えてきた、求職者のリアルな本音をお伝えできればと思います。

7-1. 求職者が本当に見ている条件

採用担当をしていて実感したのは、求職者が給料と同じくらい、あるいはそれ以上に重視しているのが「ミスマッチが起きない仕組みがあるかどうか」だということです。第1章・第5章でお伝えした通り、私の会社ではオンライン会社説明会、社内見学会、入社前実習、トライアル雇用といった段階を踏んで、お互いの理解を深める取り組みをしています。

求職者側の視点に立つと、こうした事前接点があるかどうかで「ここなら安心して働けそうだ」という判断材料が大きく変わってくるんですよね。給与水準についても、第3章でお伝えした通り内定者からの比較交渉でよく引き合いに出されるのは大手外資系、IT企業、メーカー、ゼネコン、財閥系だったので、業界の給与水準を意識した採用ページの作り方も差別化のポイントになると思います。

  • ミスマッチ防止の仕組み(見学会・実習・トライアル雇用の有無)
  • 通院休暇や短時間勤務など、配慮制度の明文化
  • 給与テーブルの透明性(昇給の仕組みがわかるか)
  • 社員食堂や福利厚生といった、額面以外の生活面の安心材料

求職者が本当に知りたいのは「入ってみないとわからないこと」を、入る前にどれだけ開示してもらえるかなんじゃないかと私は感じています。

7-2. 定着率を左右する配置転換・面談の運用実態

定着率を高める上で私が特に重要だと感じているのが、配置転換の柔軟さと、辞めたいと感じた時に相談できる窓口の存在です。第6章でお伝えした通り、私の会社では前向きな理由であれば親会社・グループ会社・社内他部署への異動が受け入れられることが多く、辞めようと思った時に一度相談してみることで、実際に異動という道が開けるケースも少なくありません。

体調不良での休みや休職に対しても寛容な空気があることは、社員が「無理をしてでも隠さなきゃいけない」という状況を防ぐ意味でも大きいと思います。人事担当者の立場から言うと、こうした運用は制度として整えるだけでなく、日々の面談で「辞めたい」というサインをどれだけ早くキャッチできるかにかかっているんですよね。

  • 定期面談で異動希望や不満を拾える仕組みがあるか
  • 「辞めたい」相談を受けた際に、退職以外の選択肢を提示できるか
  • 体調不良時の休暇取得に対して、現場が寛容な文化になっているか
  • 異動先の候補(親会社・グループ会社・社内他部署)が実際に用意されているか

7-3. 2026年法改正を見据えた採用戦略のヒント

第1章でお伝えした通り、2026年7月から法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられ、対象事業主の範囲も37.5人以上に広がります。これまで障害者雇用に取り組んでこなかった規模の企業にとっては、採用のノウハウそのものがまだ蓄積されていない状態からのスタートになるはずです。

だからこそ、この記事のように求職者側の本音を知った上で採用戦略を組み立てることが、他社との差別化につながると私は思っています。特に精神障害者の雇用は第5章でお伝えした通り伸び率が突出しているので、精神障害・発達障害への理解を前提とした受け入れ体制づくりは、今後さらに重要度が増していくはずです。

  • 精神障害者の採用・定着に特化したノウハウの蓄積
  • IT・Web・AI系など専門性の高い業務を切り出せるか(給与水準の底上げにも直結)
  • 就労移行支援事業所やエージェントとの連携体制の構築
  • 求職者向けの情報発信で「本音」を先回りして開示する姿勢

人事担当者向けの視点を整理できたところで、次は特例子会社と一般企業の障害者雇用、どちらを選ぶべきかを判断軸として整理していきます。

8. 特例子会社 vs 一般企業の障害者雇用、どちらを選ぶべきか

ここまで特例子会社の実態を見てきましたが、実際に転職・就職を考える段階になると「じゃあ自分はどっちを選べばいいの?」という疑問に行き着きますよね。ここでは3つの判断軸をチェックリスト形式で整理して、あなた自身に当てはめて考えられるようにお伝えしていきます。

8-1. 判断軸①:働きたい職種の専門性

まず確認してほしいのが、自分が働きたい職種にどこまで専門性を求めているかという点です。特例子会社は親会社やグループ会社の業務を部門ごと受託する形が多いため、第2章でお伝えした通り、業務の幅は意外と広い一方で、ひとつの分野を突き詰めるというより「いろんな部署を経験して総合力をつける」働き方になりやすいんですよね。

一方、一般企業の障害者雇用枠は、配属先次第ではありますが、その会社の本業に近い業務を任されるケースもあります。特定の業界・職種でキャリアを積みたい人にとっては、こちらの方が専門性を伸ばしやすい場合もあるんです。

次のチェックリストで、自分がどちらに近いか確認してみてください。

チェック項目向いている選択肢
総務・経理・人事など、複数分野を横断的に経験したい特例子会社
特定の業界・職種で専門性を深めたい一般企業の障害者雇用枠
資格やスキルをすでに持っていて、それを活かしたい一般企業の障害者雇用枠
まずは「働くこと」に慣れることを優先したい特例子会社

私自身、特例子会社の中で総務・経理・店舗運営・人事採用と幅広い部署を経験してきましたが、これは専門性というより「どの部署に行っても対応できる総合力」が身についた感覚に近いです。あなたが目指したいのは、深さですか、それとも広さですか?

8-2. 判断軸②:配慮の必要度合いと環境変化への耐性

2つ目の判断軸は、自分にとって配慮がどれくらい必要か、そして環境の変化にどれくらい耐えられるかという点です。第5章でお話しした通り、私は双極性障害を抱えていて、担当医からも「焦らず自分のペースで働ける環境の方がいい」というアドバイスを受けて特例子会社を選びました。

配慮が前提になっている環境と、自分から配慮を求めていく環境とでは、日々のストレスの質がまったく違います。次の項目でセルフチェックしてみてください。

チェック項目向いている選択肢
体調が変動しやすく、通院や休養のタイミングを優先したい特例子会社
環境変化に強く、多様な人の中で働くことに抵抗が少ない一般企業の障害者雇用枠
配慮を自分から交渉するのが苦手・負担に感じる特例子会社
体調が比較的安定していて、挑戦したい気持ちが強い一般企業の障害者雇用枠

正直、この判断軸は入社してみないとわからない部分もあります。ただ、担当医や支援機関に自分の特性を相談した上で選ぶと、入社後のミスマッチはかなり減らせるはずですよ。

8-3. 判断軸③:将来のキャリアプラン

3つ目は、将来的にどんなキャリアを描いているかという軸です。第4章でも触れましたが、私の同僚の中には「もっとスキルを磨きたい」という理由で、特例子会社から一般企業の障害者雇用枠へ転職していった人がいます。

つまり、特例子会社は「ずっとそこにいなければならない場所」ではなく、体調を整えながらキャリアの土台を作るための選択肢としても機能しているんです。ただし第6章でお伝えした通り、転職の際には特例子会社での経験をどう伝えるかによって評価が変わってくるので、そこは意識しておいた方がいいと思います。

チェック項目向いている方向性
今はまず「働き続けること」を実績にしたい特例子会社からスタートし、キャリアを積んで一般枠へのステップアップも視野に
数年以内に一般企業へのキャリアアップを考えている職務経歴として語れる業務経験を意識して積む
昇進・昇格を目指してキャリアを積みたい特例子会社内でのリーダー・マネージャーコースも選択肢に
専門性を突き詰めて第一人者を目指したい一般企業の障害者雇用枠、または専門特化型の特例子会社を探す

3つの判断軸を通してチェックしてみると、自分がどちらに向いているか、なんとなく見えてきたんじゃないでしょうか。どちらか一方が正解というより、今の自分の状態と将来像を掛け合わせて考えることが、後悔しない選択につながると私は思っています。

判断軸が整理できたところで、次によくある質問をQ&A形式でまとめて、細かい疑問点を解消していきます。

9. よくある質問(Q&A)

ここまで読んでくれた方の中には、まだ細かい疑問が残っている人もいるんじゃないでしょうか。ここでは検索でよく見かける質問を中心に、私の会社の実例も交えながらQ&A形式でお答えしていきます。

Q. 特例子会社で働く健常者はいる?その役割は?

結論から言うと、います。私の会社の場合、社員のうち約30%が健常者です。役割としては、親会社からの出向者、管理職候補としての転職者、症状が寛解して障害者手帳を返上した元当事者、業務委託者、派遣社員、アルバイトなど、立場はさまざまなんですよね。

  • 親会社からの出向者(マネジメント層に多い)
  • 管理職候補としての転職者
  • 寛解により障害者手帳を返上した元当事者
  • 業務委託者・派遣社員・アルバイト

健常者と障害者が混在する職場だからこそ、お互いの視点を持ち寄れる環境になっているとも言えます。あなたが特例子会社を検討している健常者の方であれば、こうした立場での関わり方があることも知っておいてもらえたらと思います。

Q. 特例子会社の経験は転職で社会人経験として認められる?

先ほど第6章でも触れた通り、この点はYahoo!知恵袋でも「評価されるのか不安」という声がよく見られる質問です。結論としては、勤続年数や雇用形態、担当した業務の幅、そして面接や職務経歴書での伝え方によって評価は変わってくるというのが実情ですね。

単に「特例子会社にいました」と伝えるだけでなく、どんな業務を、どれくらいの期間、どんな立場で担当してきたかを具体的に語れるかどうかがポイントになります。第6章のチェックリストも参考にしながら、自分の経験を棚卸ししてみてください。

Q. 特例子会社は本当に「厳しい」「軍隊のよう」なのか?

ネット上には、特例子会社は規律が厳しく息苦しいという口コミも一定数あります。実際にそう感じた人がいるのも事実だと思います。

ただ、私の会社に関して言えば、むしろ温厚で優しい人が多いんですよね。正直な話、この人間関係の良さこそが、辞めたいと思った時に何度も踏みとどまらせてくれた理由の一つでもあります。会社によってカラーがまったく違うので、「特例子会社=厳しい」と一括りにしない方がいいと私は思っています。

Q. 特例子会社を辞めた後、キャリアはどうなる?

これは第8章でお伝えした将来のキャリアプランの話とも重なりますが、辞めた後の道は一つではありません。一般企業の障害者雇用枠へ転職する人もいれば、別の特例子会社へ移る人、症状が落ち着いて一般雇用に戻る人など、進む方向は人それぞれです。

  • 一般企業の障害者雇用枠への転職
  • 別の特例子会社への転職
  • 症状の寛解にともなう一般雇用への切り替え
  • 就労移行支援などを再利用してのキャリアチェンジ

大事なのは、辞めること自体をゴールにせず、その先どう働き続けたいかを考えておくことなんじゃないかと私は感じています。

情報源:Yahoo!知恵袋/補完

細かい疑問点も整理できたところで、最後にこの記事全体のまとめをお伝えします。

まとめ

ここまで長い記事に付き合ってくださり、ありがとうございます。最後に、この記事全体を振り返りながら、あなた自身の選択のための後押しをさせてください。

「リアル」を知った上で、読者自身が納得のいく選択をするための後押し

ネット上には「特例子会社は給料が低い」「厳しい」「軍隊のよう」といった情報が数多く並んでいます。実際にそういう会社があるのも事実で、それ自体は否定しません。ただ、私が13年間働いてきた会社は、平社員でも250〜450万円まで昇給する仕組みがあり、人間関係も穏やかで、部署異動や親会社のプロジェクトに挑戦できる環境でした。

こんな特例子会社もあるんだよ、というのが、この記事を通して一番伝えたかったことなんです。一般的な情報と、私自身の一次体験を並べてお伝えしてきたのは、どちらか一方だけでは見えてこないリアルがあると思ったからなんですよね。

  • 給与・年収の実態(一般的なデータ+私の会社の実例)
  • 業務内容と1日の流れ
  • メリット・デメリットの本音
  • 精神障害当事者としての体験談
  • 辞めたいと感じた時の考え方
  • 特例子会社と一般企業、どちらを選ぶかの判断軸

これから障害者雇用での就職・転職を考えているあなたには、この記事の判断軸を使って、自分の体調やキャリアプランに合った選択をしてもらえたらうれしいです。そして、法定雇用率対応で特例子会社の設立や採用を検討している人事担当者の方には、求職者が実際にどんな不安を抱えているのか、少しでも伝わったのであれば書いた甲斐があります。

私自身、一般雇用で心身ともに追い込まれた経験があるからこそ、今の環境にたどり着けたことをありがたく感じています。あなたにとっても、この記事が「自分に合う働き方」を見つけるきっかけになりますように。

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