一般雇用で働いていた頃にうつと双極性障害を発症し、精神障害者保健福祉手帳を取得。就労移行支援を経て、大手企業の特例子会社へ。面接を受ける側と、面接をする側の両方に座りました。
はじめに

面接の日程が決まってから、この記事にたどり着いた人が多いのではないでしょうか。
先にお伝えしておきます。特例子会社の面接で聞かれることは、実はある程度決まっています。そして落ちる理由の多くは、障害があることではありません。
私は、面接を受ける側と、面接をする側の両方の椅子に座ったことがあります。そのうえでお伝えできることを書きました。
その間に複数の部署を経験し、後半は人事・採用を担当しました。つまり私は、面接を受ける側と、面接をする側の両方の椅子に座ったことがあります。
この記事でお伝えするのは、次の4つです。
- 基本編・障害編に分けた、実際に聞かれる質問と回答例
- 特例子会社の元採用担当として見てきた、合否が分かれた実際のポイント
- 言わないほうがよい答え方と、逆質問で聞いておきたいこと
- 筆記試験や面接時間など、知恵袋によく出るのに誰も答えていない疑問
模範解答を覚えてもらう記事にはしていません。自分の言葉に置き換えられる「型」を持ち帰ってもらえたら、と思って書いています。
1. 特例子会社の面接は、一般の面接と何が違うのか

質問の中身に入る前に、相手が何を確かめようとしているのかを押さえておきましょう。ここが分かっていないと、どれだけ模範解答をなぞっても、どこか噛み合わない答えになってしまうんですよね。
この章では、面接官の側が何を見ているのかをお話しします。
1-1. 見られているのは能力より「安定して働き続けられるか」
特例子会社の面接でいちばん重く見られているのは、スキルでも経歴でもありません。入社したあと、働き続けられるかどうかです。
理由は、特例子会社という仕組みそのものにあります。特例子会社(障害のある人の雇用に特別な配慮をした子会社で、そこで働く人を親会社グループ全体の障害者雇用率に算入できる制度)は、人数を確保して終わりではありません。
その人たちが働き続けて、初めて成り立つ仕組みなんです。早期に辞められると、グループ全体の数字にそのまま響きます。
数字で見てみましょう。特例子会社は令和7年6月1日時点で631社あり、前年から17社増えました。一方、民間企業の実雇用率は2.41%、法定雇用率を達成している企業は46.0%にとどまっています。
さらに2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象となる事業主の範囲も従業員37.5人以上へ広がりました。
採用の枠は広がっている。けれど採る側は、これまで以上に「続く人」を慎重に選んでいる。この2つが同時に起きているのが、今の状況です。
私が採用担当だった頃を振り返っても、面接で見ていたのは障害の種別でも、優秀かどうかでもありませんでした。いちばん近い言葉は、一緒に働くイメージが持てるかです。
具体的には、こんなところを見ていました。
- 今の体調がどのくらい安定しているか
- 自分の特性をどこまで理解しているか
- 必要な配慮を具体的に言えるか
- 困ったときに誰かへ相談できるか
- 働くための準備が整っているか
病名を尋ねているように見えて、本当に確かめているのはこの5つだったりします。だから、診断名を正確に説明できるかどうかは、実はそれほど重要ではないんです。
採用する側の判断軸をもっと詳しく知りたい方は、障害者雇用で人事が本当に見ている本音もあわせてどうぞ。
1-2. 面接官が複数いる理由と、親会社の人が同席することがある背景
特例子会社の面接では、面接官が2〜3人という形がよくあります。しかも、その中に親会社の人事が入ることがあるんです。
理由は、配属先と配慮の実行可能性を、その場で確かめる必要があるからです。特例子会社の仕事は、親会社やグループ会社から受注しているものがほとんどを占めます。
そのため「この人をどの業務に配置できるか」「求められている配慮を現場で実行できるか」を判断するには、受け入れ側の目が要ります。

面接官が3人もいると聞いて、それだけで緊張してしまいます。人数が多いのは厳しく審査されているということでしょうか?

逆なんですよ。人数が多いのは、その場で配置や配慮まで具体的に検討しようとしているサインであることが多いです。私が同席していたときも、面接官の一人は「この人が来たら、うちのチームでどう動いてもらうか」を考えながら聞いていました。人数と厳しさは、あまり関係ありません。
なお、支援員に同席してもらえるのか、面接官の人数が人によって違うのはなぜか、といった疑問については、7章でまとめてお答えします。
1-3. 一般雇用の面接との、決定的な違い
一般雇用の面接が「何ができるか」を確かめる場だとすれば、特例子会社の面接は「何ができるか」と「何があれば力を発揮できるか」を、両方そろえて聞く場です。
この違いは、ずっと一般雇用で働いてきた人ほど戸惑うところだと思います。私自身、初めて障害者雇用の面接を受けたとき、体調や通院について踏み込んで聞かれて、少し身構えました。これまでの面接では、こんなこと聞かれなかったのに、と。
ただ、この質問には理由があります。配慮の中身が分からないまま採用すると、配属先も決められませんし、入社後に「聞いていた話と違う」というすれ違いが起きてしまう。だから聞いているんです。
一方で、障害や配慮とは関係なく、そもそも聞いてはいけないことも決まっています。厚生労働省は、就職差別につながるおそれのある事項として、次のようなものを挙げています。
- 本籍・出生地に関すること
- 家族の職業・収入・資産・学歴などに関すること
- 住宅の状況や生活環境・家庭環境に関すること
- 宗教、支持政党、人生観や信条に関すること
- 合理的・客観的な必要性が認められない健康診断の実施
(出典:厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」)
体調や配慮について聞かれるのは、配置を設計するために必要だからです。でも、家族の職業や資産まで聞かれたとしたら、それは別の話になります。この線引きを知っておくだけでも、面接の場で落ち着いていられますよ。
相手が何を見ているかが分かったところで、次は実際の質問に入ります。
2. 実際に聞かれる質問【基本編】回答例つき

ここからが本題です。特例子会社の面接で実際に出る質問を、基本編と障害・配慮編に分けて見ていきます。
まずは基本編。一般の面接と同じ顔をしていて、実は見られているポイントが違う質問たちです。
2-1. 自己紹介 ──「1分でお願いします」に何を入れるか
自己紹介で求められているのは、経歴の朗読ではありません。これまで何をしてきたか・今どんな状態か・これから何をしたいか、この3つを1分に収めることです。
なぜかというと、面接官は自己紹介の1分間で、話の内容以外のところも見ているからです。話を組み立てられるか。緊張の中でも落ち着いていられるか。声の張りはどうか。
1章でお話しした「一緒に働くイメージ」は、実はこの最初の1分でかなりの部分が決まります。回答例を挙げてみます。
「〇〇と申します。前職では約5年間、事務職として請求書の処理と電話対応を担当しておりました。体調を崩して退職しましたが、通院と就労移行支援での訓練を経て、現在は週5日の通所を続けられる状態まで戻っています。これまでの事務の経験を活かしながら、長く働ける環境で腰を据えたいと考え、応募いたしました」
生い立ちから順番に話し始めてしまう人が、けっこういます。気持ちは分かるのですが、1分では終わりません。直近の職務と、今の状態と、志望の方向。この3点だけで十分なんです。
2-2. 職務経歴とブランクの説明
「離職期間が長いのですが、大丈夫でしょうか」──これ、面接前にいちばん多い不安かもしれません。
先に安心してほしいのですが、空白期間そのものを減点材料にしている会社は、思っているほど多くありません。見られているのは期間の長さではなく、その間に何をしていたかです。
というのも、療養が必要だった人にブランクがあるのは当たり前だからです。むしろ何もせずに就職活動だけしていた人より、体調を整える時間を取った人のほうが、採用側からは安心して見えます。
私が採用担当だったときも、「療養と通院で体調を整え、その後は就労移行支援に通って、生活リズムと事務スキルを立て直していました」と説明された方には、ブランクの長さを気にすることなく話を進められました。
逆に、そこを曖昧にごまかされると、かえって気になってしまうんですよね。答え方の型はこうです。
- 空白期間の長さを、はっきり自分から言う
- その期間に何をしていたかを具体的に言う(通院、療養、訓練、資格取得など)
- 今どこまで戻っているかで締める
2-3. 志望動機 ──「なぜ当社の特例子会社なのか」
知恵袋を見ていると、この質問で詰まっている人がとても多いです。「障害に配慮してもらえるから」以外の答えが、なかなか出てこない。
答えの糸口は、親会社グループの事業に触れることにあります。
理由は、特例子会社の仕事の中身にあります。特例子会社の業務は、親会社やグループ会社から社内アウトソーシングとして受注しているものがほとんどです。
つまり、親会社が何をしている会社なのかを知らないまま入社すると、自分が何のためにその作業をしているのか分からなくなります。採用側も、そこは気にしています。回答例です。
「御社の親会社である〇〇のサービスを、以前から利用者として使っておりました。その事業を支える事務の部分を担えるという点に惹かれています。また、説明会で伺った短時間勤務から始められる制度も、体調を安定させながら段階的に業務を増やしたい自分の希望と合っていると感じました」
配慮の話を入れてはいけない、ということではありません。事業への関心が先、配慮の話は後。この順番にするだけで、印象がかなり変わります。
2-4. 退職理由 ── 体調を崩して辞めた場合の言い方
この質問に、正解の言い回しはありません。ただ、避けたほうがよい終わり方と、伝わりやすい構造はあります。
伝わりやすいのは、出来事で終わらせず、そこから何が分かって、今どう変えたかで締める形です。
私自身の話をします。私は一般雇用で3社を経験して、そのどこでも体調を崩しました。1社目は徹夜も休日出勤もある働き方で不安障害を発症し、事務職に変わってからも2度うつを発症しています。
環境を変えても、同じところで倒れる。そのとき気づいたのは、私の場合、問題は会社選びではなく、働き方の枠組みそのものだったということでした。だから障害者雇用という選択をしています。
この経験を面接用に組み直すと、こうなります。
「業務量の調整を自分から言い出せないまま無理を重ねてしまい、体調を崩して退職しました。振り返ると、会社が合わなかったというより、不調のサインを早い段階で共有する仕組みを自分が持っていなかったことが原因だったと考えています。今は主治医と支援員に定期的に状況を伝える形をつくり、月ごとの体調を記録しています」
前職への不満だけで終わってしまう答え方については、5章で改めて取り上げます。
転職回数が多く、職歴全体の伝え方に迷っている方は「障害者雇用で転職回数が多いと不利?」で、書類と面接での伝え方をまとめています。
2-5. 長所と短所
短所は、対処法とセットで話す。これに尽きます。
面接官は短所そのものを知りたいわけではないんです。確かめているのは、自分の特性をどこまで把握していて、それにどう手を打っているか。つまり自己理解の深さを、短所という切り口で聞いています。
たとえば、こんな形になります。
「複数の作業を同時に頼まれると、優先順位が混乱しやすいところがあります。そのため、依頼を受けた時点で締切を必ず確認して、その場でリストに書き出すようにしています。訓練先でもこの方法で、抜け漏れなく進められるようになりました」
「短所は特にありません」と答えてしまうケースについては、これも5章で触れます。基本編はここまでです。次は、多くの人が本当に身構えている障害・配慮編に入ります。
3. 実際に聞かれる質問【障害・配慮編】回答例つき

正直に話したら不利になるのではないか。ここまで言う必要があるのか。この章の質問には、そういう迷いがついて回ると思います。
先に、なぜ採用側がここを念入りに聞くのかという背景をお伝えします。障害者職業総合センターの調査によると、精神障害のある方の1年後の職場定着率は49.3%でした。
一方、求人の種類別に見ると、障害者求人での1年後定着率が70.4%だったのに対し、一般求人で障害を開示せずに就職した場合は30.8%にとどまっています。
(出典:障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」(調査研究報告書No.137))
やや前の調査ではありますが、開示して配慮を得られた場合と、そうでない場合で、続けられる確率が倍以上違うという結果です。採用側が配慮の中身にこだわるのは、意地悪をしたいからではなく、この差を知っているからなんですよね。
3-1. 障害の内容と症状を、どこまで話すか
診断名・業務への影響・不調のサイン、この3点セットで十分です。医学的な説明を詳しくする必要はありません。
というのも、面接官は医療の専門家ではないからです。詳しい病態を説明されても判断材料になりません。知りたいのは、その特性が仕事の場面でどう出るのか、という一点です。
「双極性障害があります。気分の波があり、調子が上がりすぎているときに予定を詰め込みすぎてしまう傾向があります。逆に下がっているときは、判断に時間がかかります。どちらも、睡眠時間の変化が先に出るので、そこを目安にしています」
診断名だけを伝えて終わってしまう答え方が、いちばんもったいないパターンです。相手は診断名から業務への影響を推測できません。そこは自分で言葉にするしかないんです。
3-2. 通院・服薬の状況
ここは数字で答えるのが最も伝わります。頻度、曜日や時間帯、勤務への影響の有無。この3つを短く言い切ってください。
理由は単純で、この回答がそのまま勤怠の設計に使われるからです。月1回の通院なら有給休暇でまかなえるのか、半休制度が要るのか、時間単位の休暇制度があるほうがよいのか。面接官は聞きながらそこを計算しています。
「通院は4週間に1回、木曜の午前中です。半休をいただければ、午後から通常どおり勤務できます。服薬は朝と就寝前で、勤務中に服用するものはありません。眠気などの影響も、現在の処方では出ていません」
なお、服薬内容の調整や通院間隔の変更については、必ず主治医にご相談ください。面接に合わせて自己判断で変えるようなことは、しないでくださいね。
3-3. 体調を崩したときの、対処法
「早めに休みます」だけでは、残念ながら弱いです。ここは段階と、それぞれの行動をセットで示せると、一気に説得力が出ます。
私が復職するときに作ったものを、そのまま紹介します。支援機関の担当者の助言で、自分の状態を躁・軽躁・平常時・軽うつ・うつの5段階に分けました。そして段階ごとに、よく出る行動や思考のパターンと、その対処法をリストにしたんです。
このリスト1枚を、上長と支援員に渡しておきました。すると何が起きたか。周囲が「今ちょっと軽躁っぽいかも」と、自分より先に気づいてくれる環境ができたんです。自分では見えない変化を、周りが見つけてくれる。これは想像以上に効きました。
採用担当の側から見ても、ここまで見える化してくれる人は、圧倒的に安心材料が多いです。「何かあったら言ってください」と伝えるしかない相手と、「この状態のときはこうしてほしい」と最初から分かっている相手では、受け入れる側の心構えがまったく違います。
面接の場では、こう答えられます。
「自分の状態を5段階に分けて、それぞれの兆候と対処をまとめたシートを作っています。軽い段階では業務量の調整を自分から申し出て、下がり始めた段階では上長に共有したうえで通院日を早めます。前職の復職時は、このシートを上長と支援員に共有していました」
作り方はそう複雑ではなく、自分の状態を段階に分けて、段階ごとに「よく出る行動・考え方」と「自分がすること・周りにしてほしいこと」を書き出すだけです。実物をもとにした5段階の見本表と、書けなかった欄をどう埋めたかは、ナビゲーションブックの書き方と記入例で詳しく紹介しています。
3-4. 必要な配慮事項の、伝え方
配慮事項は、「〇〇してほしい」ではなく、「〇〇があれば、〇〇ができる」という形にしてください。これだけで通りやすさが変わります。
理由は、会社が判断しているのが「その配慮を実行できるか」だからです。要望の形だと、実行できるかどうかしか検討されません。できることとセットで示されると、配置の話に進めます。3つ並べてみます。
- 「指示を口頭だけでなく、チャットなど文字でもいただければ、抜け漏れなく処理できます」
- 「繁忙期に業務量が増える際、事前に見通しを共有いただければ、自分でペース配分を組めます」
- 「通院日を月1回確保できれば、体調を安定させたまま継続して勤務できます」
もうひとつ、開示の範囲についても触れておきます。私の会社では、上長への情報共有は必須ですが、チームのメンバーにどこまで伝えるかは本人の意向で分かれます。
個人情報の扱いがあるため、リーダー以外は配慮事項を知らないというケースもあるんです。ここは面接の場か、内定後に確認しておくと安心ですよ。
3-5. 通勤手段と、勤務できる日数
この質問には、実際に試した数字で答えてください。「たぶん通えると思います」は、いちばん不安を持たれる答え方です。
通勤は、思っている以上に体力を使います。私が2回目の休職から復職する際、リワークに通う事業所を選んだときの条件のひとつが、「30分前後、電車に乗って通える場所であること」でした。復職後の通勤そのものを、練習にしたかったからです。
その2か月があったからこそ、復職初日からフルタイムで働き始めることができました。もし訓練期間を短く見積もっていたら、こうはいかなかったと思います。
「自宅から電車で40分、乗り換え1回です。就労移行支援に9か月通っており、直近3か月は週5日、同じ時間帯の電車で通所しています。出席率は95%を超えていました」
通所実績がある方は、この数字をぜひ使ってください。面接官にとって、いちばん信じられる材料です。
3-6. 得意な業務と、苦手な業務
苦手な業務を聞かれたとき、「避けたいこと」として答えるか、「工夫していること」として答えるか。ここで印象が分かれます。
「データ入力や書類のチェックなど、手順が決まっている業務は得意です。一方、電話の一次対応は、内容を聞き取りながら判断することが重なるため苦手意識があります。前職では、よくある問い合わせの対応表を自分で作って手元に置くことで、対応できる範囲を広げていました」
苦手を隠す必要はありません。ただ、苦手のまま置いておくのではなく、どう扱っているかまで言えると強いです。
ここまで読んで「配慮事項を自分の言葉にするのが、一人では難しい」と感じた方へ。就労移行支援なら、想定問答づくりから模擬面接まで、支援員と一緒に進められます。
ここまでで、面接で聞かれる質問はひととおり押さえられたと思います。ただ、この回答例をそのまま使っても通る人と通らない人がいます。次の章では、その差がどこにあったのかを、面接する側の席から見た話としてお伝えします。
4. 元採用担当が明かす、合否が分かれた実際のポイント

ここからは、面接する側の席から見えていた話をします。
私が人事・採用のチームにいた頃、1日はだいたいこんな流れでした。朝礼のあと午前中は応募者対応とオンライン面接のアテンド、昼をはさんで説明会や見学会の準備、午後は面接の日程調整と支援機関への対応。夕礼で共有して退社。
つまり、応募書類を読んで、面接に立ち会って、そのあとの相談まで見ていた側です。その立場から見ていて、同じような回答をしているのに、通る人と通らない人がはっきり分かれる瞬間が何度もありました。
4-1. 同じ内容を話しても、通る人と落ちる人がいた
差がついていたのは、配慮事項を言えたかどうかではありません。どれだけ具体的に言えたかでした。
というのも、事前に申告された配慮事項は、落とす材料としてではなく、配置と環境を決める材料として使われているからです。ここは外から見ていると、なかなか分かりにくいところだと思います。
実際に配慮された例を、2つの型に分けて紹介します。
ひとつ目は、配置で解決する型です。
特性上、その場での即座の判断や対応を求められることが苦手だという方がいました。だから電話対応や窓口対応は難しい、とあらかじめ伝えてもらっていたんです。
結果どうなったか。対外的なやり取りのない部署へ配置されました。苦手を申告したから落とされたのではなく、その苦手を避けられる場所に置かれた、ということです。
ふたつ目は、道具や環境で解決する型です。
周りの声や物音が雑音として聞こえてしまい、集中が続かない。だからノイズキャンセリングのイヤフォン(周囲の音を打ち消して聞こえにくくするイヤフォン)を使わせてほしい。そう申し出があり、配慮された例がありました。
精神障害以外でも、視覚障害のある方から、拡大鏡や文字読み上げソフトを使える環境を依頼されたことがあります。部署を変えなくても、道具ひとつで解決することは意外と多いんです。
ここまで読んで、気づいたことはありませんか。どちらも「できません」で終わっていないんですよね。苦手の中身が具体的だから、打ち手が選べているんです。
逆に「臨機応変な対応は苦手です」とだけ言われると、受け取る側は動けません。どの業務なら大丈夫で、何があれば解決するのか、判断がつかないからです。面接では、この2方向で考えてみてください。
- 苦手な業務を避けられる配置にしてもらう
- 道具や環境を用意してもらって、その業務をできるようにする
- どちらでもよいので、すでに試して効果があった方法を添える
回答例にすると、こうなります。
「周囲の話し声が続くと集中が切れやすいのですが、訓練先ではノイズキャンセリングのイヤフォンの使用を許可していただき、それで以前と同じペースで作業できるようになりました。同様の対応が可能でしたら、業務に支障は出ないと考えています」
苦手なことを口に出すのは、勇気が要ると思います。でも言わなければ、配慮のしようがないんですよね。伝えた苦手は避けてもらえますが、伝えなかった苦手は、そのまま毎日の業務になります。
4-2. 面接後に「もう一押し」があった人の共通点
面接が終わったあと、採用担当の間で話す時間があります。そこでよく交わされていたのは、合否そのものより「この人はどの部署から始めるとよいか」という会話でした。
たとえば、事務の経験はないけれど、販売の経験があって人当たりがよく、コミュニケーション能力が高い人。こういう方については、「窓口業務が中心の部署が向いているんじゃないか」「まずはそこからスタートして、会社に慣れながら事務の経験を積んでいけばいい」という話になることが多かったです。
私自身、そう感じる場面が何度もありました。ここ、大事なところだと思うんです。事務未経験であること自体は、落とす理由になっていません。議論されていたのは、入口をどこにするかでした。
なぜそうなるかというと、特例子会社の業務は親会社やグループ会社から受注しているものが中心で、社内に複数の職種が並んでいるからです。だから「この人には合う場所がなさそうだ」ではなく、「どこなら合いそうか」という考え方になります。
私自身も、まさにそうでした。入社後、半年の試用期間中、最初に配属されたのは経理関係の部署です。ところが数字はどちらかというと苦手で、正直、あまり仕事に興味が持てませんでした。
それが3か月目、窓口業務のマネージャーがコミュニケーション力を買ってくれたのか、窓口業務の部署へ異動することになったんです。そこから、仕事が急に楽しくなりました。
指導役の先輩が、本当に楽しそうに仕事をしていて。「仕事ってこんなに楽しんでいいんだ」と、あのとき初めて思えたんですよね。今でもよく覚えています。
だからこそ、面接では「何ができるか」だけでなく、どんな場面で自分の力が出るかを言葉にしてほしいと思っています。それが、入口を決める材料になります。

最初の配属が自分に合わなかったら、どうすればいいんでしょうか。

それで終わりではありません。私自身、最初の部署はまったくしっくりきませんでした。特例子会社は社内に複数の業務があるので、合う場所へ移れる可能性があります。面接の段階では、異動の仕組みがあるかどうかを確認しておくと安心ですよ。
もうひとつ、後押しになっていたのが支援機関との連携が見えることでした。私は採用担当として、就労移行支援事業所やエージェントの担当者と、求人や見学会・説明会を通じて直接やり取りする機会が多くありました。
困ったときに一緒に考えてくれる人がいると分かっている応募者は、それだけで安心材料が増えます。なお、特例子会社の仕事の中身については、特例子会社のリアル、実際どう?で詳しく書いています。
4-3. 正直に話して落ちた人は、実際にいたのか
いちばん聞きたいのは、ここかもしれません。
私の記憶の範囲で言えば、「正直に話したから落ちた」というケースは、ほとんど思い当たりません。落ちていたのは正直だった人ではなく、情報が足りないまま面接が終わってしまった人でした。

でも、体調に波があることを正直に言ったら、それだけで敬遠されませんか?

波があること自体は、採用側も想定内です。むしろ「波はありません」と言われるほうが身構えます。気にしているのは、波が来たときにどうなるのか。そこが説明されていれば、波の有無は決定打になりません。
問題になりやすいのは、むしろ逆のケースです。伝えなかったことが入社後に出てくると、配慮の設計を最初からやり直すことになります。本人も言い出しづらくなって、双方が苦しくなる。
3章で見た定着率の差は、こういうところから生まれているのだと思います。正直に話すことは、リスクではなく前提の共有です。ここを誤解したまま面接に臨むと、答えが全部ぼやけてしまうんですよね。
5. 面接で言わないほうがよい答え方

ここまでの章で「こう答える」を積み上げてきたので、この章では逆側から4つだけ挙げます。どれも、悪気なく言ってしまいやすいものばかりです。
5-1. 「特にありません」が不利になる理由
逆質問や短所を聞かれて「特にありません」。これは、思っている以上に印象が薄くなります。
理由は、面接官が受け取る情報がゼロだからです。準備してこなかったのか、遠慮しているのか、本当に何もないのか、区別がつきません。判断できないものは、判断できないまま置かれます。
とくに配慮事項で「特にありません」と答えるのは、実はリスクでもあります。配慮なしで働ける前提で配置が決まるので、入社後に「やっぱりこれが必要でした」と言い出しづらくなるからです。
思いつかないときは、こう返すだけでも印象は変わります。
「今の時点で必ず必要なものはありませんが、繁忙期など業務量が大きく変わる場面では、事前に見通しを共有していただけると助かります」
5-2. 配慮事項を「大丈夫です」で押し切ろうとする
これは、私自身がやってしまっていたことです。
一般雇用で働いていた頃、無理が続いて少し体調に異変が出ても、私は言い出せませんでした。チーム全体が忙しいから。周りに迷惑がかかるから。マネージャーも忙しそうだから弱音は吐けない。そうやって周囲を気にしすぎて、結局そのまま倒れています。
でも、あとから採用する側に回って分かったことがあります。体調を崩して休職になったほうが、周りははるかに大変なんです。
1人が数か月抜ける穴を埋めるのと、その人が月に半休を1回取るのと、どちらが職場に影響するかを考えれば、答えは明らかでした。
面接の場で「大丈夫です」を重ねてしまうのは、遠慮からくることが多いと思います。ただ、その遠慮は相手のためになっていません。必要なものは、必要だと言ってしまったほうが、結果的に双方が楽になります。
休職と復職を実際にどう進めたかは、休職から復職の体験談に書いています。
5-3. 前職への不満だけで終わる退職理由
「上司と合わなかった」「業務量が多すぎた」。事実だとしても、そこで話を終えてしまうと、聞いている側には次も同じ理由で辞めるかもしれないという懸念だけが残ります。
不満を言ってはいけない、という話ではありません。足りないのは、そのあとです。2章で触れた「何が分かって、今どう変えたか」を続けてください。原因の分析まで自分で言えている人は、同じことを繰り返しにくいと判断されます。
5-4. 障害の説明が、診断名だけで終わっている
3章でお伝えしたとおり、面接官は医療の専門家ではありません。診断名を聞いても、業務への影響までは想像できないんです。
にもかかわらず、診断名を告げたところで説明が終わってしまうケースは、かなりあります。おそらく、詳しく話しすぎてはいけないという気遣いもあるのだと思います。
必要なのは、詳しさではなく翻訳です。診断名を、仕事の場面の言葉に置き換える。それだけで、相手は判断できるようになります。
言わないほうがよい答え方を見てきましたが、逆に「これは聞いておいたほうがいい」というものもあります。次の章では逆質問を扱います。
6. 逆質問では何を聞けばよいか

「最後に何か質問はありますか」。ここで固まってしまう人、多いと思います。
この章では、聞いておくと入社後に効いてくる質問と、避けたほうがよい質問を分けて見ていきます。制度を運用していた側から見て、実際に差が出るところをお伝えします。
6-1. 聞いておくと、入社後に困らない質問
逆質問は、印象を良くするためのものではありません。入社後の自分を守るための情報収集だと思ってください。
というのも、入社してから「聞いておけばよかった」となる項目は、だいたい決まっているからです。私の会社で採用に関わっていたとき、入社前・入社後にどこを確認しておくべきかは、ある程度パターン化していました。
入社前に確認しておきたいこと
- 会社見学や説明会に参加できるか
- 入社前の実習制度があるか
- トライアル雇用(短時間勤務などから始めて、段階的に移行する仕組み)があるか
- 試用期間の長さと、その間の雇用形態
当社では、オンラインの会社説明会、社内見学会、入社前実習、トライアル雇用といった形で、正式採用の前にお互いのミスマッチを防ぐ取り組みをしていました。こういう機会が用意されている会社は、入る前に職場の空気を確かめられます。使わない手はありません。
働き方について確認しておきたいこと
- 通院のための休暇がどう扱われているか
- 短時間勤務から始められるか
- 転勤や勤務地変更の可能性があるか
配慮の共有範囲についての確認
これは意外と聞かれないのですが、大事なところです。私の会社では、上長への情報共有は必須ですが、チームのメンバーにどこまで伝えるかは本人の意向によって分かれます。個人情報の扱いがあるため、リーダー以外は配慮事項を知らないというケースもあるんです。
「配慮事項は、どの範囲の方まで共有されるのでしょうか。また、共有の範囲は本人の希望で調整できますか」
この質問、聞かれた側としては「よく考えているな」と感じます。そして何より、あなた自身が入社後に困らずに済みます。
なお、異動の仕組みについては4章で触れたとおりです。最初の配属が合わなかったときの逃げ道があるかどうかは、確認しておくと安心ですよ。
6-2. 聞かないほうがよい逆質問
避けたほうがよいものも、はっきりしています。
ひとつ目は、調べれば分かることです。「御社の事業内容を教えてください」と聞かれると、企業研究をしていないという印象だけが残ってしまいます。
ふたつ目は、条件面だけを立て続けに聞くことです。給与や休日を聞くこと自体は、まったく問題ありません。働くうえで当然の関心事ですから。ただ、逆質問が全部それだと、仕事の中身に興味がないように見えてしまうんですよね。
順番の工夫で解決します。仕事や配慮の話をひとつ挟んでから、条件の質問へ。それだけで受け取られ方が変わります。
3つ目は、確認というより詰問になっているものです。「本当に残業はないんですね?」のような聞き方は、意図せず相手を身構えさせてしまいます。「繁忙期には、どのくらいの業務量になりますか」と事実を尋ねる形にすれば、同じことが聞けます。
6-3. 逆質問が思いつかなくても、不合格ではない
安心してほしいのですが、逆質問の有無だけで落ちることは、まずありません。
面接の中で疑問が解消されていれば、聞くことがなくなるのは自然です。むしろ無理にひねり出した質問のほうが、噛み合わないことがあります。
ただ、5章でお伝えしたとおり「特にありません」で終えるのは、もったいない。ひとつだけ用意しておいて、面接中に答えが出てしまったら、こう言えば十分です。
「伺おうと思っていた〇〇については、先ほどご説明いただいたので解消しました。ありがとうございます」
準備していたことが、これで伝わります。さて、ここまでは面接の中身の話でした。次は、知恵袋に何度も投稿されているのに、どこにも答えが載っていない疑問を扱います。
7. 知恵袋でよく出る疑問に、採用側から答える

この章は、Yahoo!知恵袋で繰り返し質問されているのに、検索してもまともな答えが見つからないものを集めました。採用に関わっていた立場から、分かる範囲でお答えします。
Q. 特例子会社に筆記試験はありますか
会社によります、というのが正直な答えです。ただ、傾向はあります。
一般企業の新卒採用でよく使われるSPIや玉手箱のような形式は、障害者雇用ではあまり多くありません。代わりに実施されることが多いのは、実際の業務に近い作業を試す形です。データ入力の速度と正確さを見る、書類を仕分けてもらう、といったものですね。
私の会社の場合は、筆記試験というより入社前実習やトライアル雇用で実際に働いてもらい、そこで適性を見る形をとっていました。試験一発ではなく、期間の中で見るという考え方です。
対策としては、あらかじめ聞いてしまうのが一番早いです。
「選考の流れについて、面接以外に実技や筆記の課題はございますか」
説明会や、応募時の問い合わせで確認できます。当日いきなり出てきて驚くより、先に知っておいたほうが落ち着いて臨めますよ。
Q. 面接が予定より早く終わったのは、落ちたサインですか
時間の長さで合否は決まりません。というより、面接時間はあらかじめ枠として決まっていることがほとんどです。
当社の場合、オンライン面接が中心になってからは、面接官のスケジュール調整の都合もあって枠は30分と決まっていました。そのあとの予定が空いていれば延長することもありましたが、基本は30分です。
つまり、面接が長くなるか短くなるかは、応募者の評価というより面接官のその日の予定に左右されている部分が大きいんですよね。

1時間の予定だったのに40分で終わってしまって、それからずっと落ち込んでいます。

40分なら、むしろ長いほうだと思いますよ。当社は枠そのものが30分でした。予定より早く終わるのは、確認したいことが埋まったからです。応募書類がしっかり書かれていて、面接で補う必要が少なかった場合、早く終わるのは自然なんです。
面接後は、どうしても細かい記憶を何度も再生してしまうものだと思います。でも、そこから読み取れることはほとんどありません。結果を待つあいだは、次の応募先の準備に手を動かしたほうが、気持ちは楽になります。
Q. 面接官の人数が、人によって違うのはなぜですか
これは、応募先の部署と選考段階の違いによるものがほとんどです。
1章でお話ししたとおり、特例子会社の面接には配属先や親会社の人が入ることがあります。ということは、どの部署で受け入れる可能性があるかによって、出席者が変わるわけです。複数の部署が候補になっている場合、人数が増えることもあります。
加えて、単純に日程の都合ということもあります。同席予定だった人が別の予定と重なれば、人数は減ります。人数と厳しさは関係ありません。3人だったから重視されている、2人だったから軽く見られている、ということはないんです。
Q. 何社目くらいで内定が出るものですか
平均社数のような数字を、私は持っていません。母数を持っていないので、憶測で言うのは避けます。
そのうえで、ひとつだけはっきりお伝えできることがあります。あなたが何社受けてきたかは、応募先には分かりません。
履歴書に書くのは職歴であって、応募の履歴ではないからです。面接で「何社目ですか」と聞かれることもまずありません。だから、社数を重ねること自体が不利になることはないんです。
もうひとつ。不採用の理由は、その人の能力より募集していた業務との相性であることが本当に多いです。同じ人が、時期を変えて応募したら通ることもあります。求人は入れ替わりますから。
落ちたことを自分の評価そのものだと受け取ってしまうと、次の面接まで引きずってしまいます。相性の問題だった可能性のほうが高い、と思っておくくらいでちょうどいいです。
Q. 支援員に同席してもらってもよいですか
会社によって方針が分かれます。「同席できるはず」と思い込んで当日を迎えるのは、避けてください。
当社の場合、以前は同席が可能でした。ただ現在は、基本的にはご遠慮いただいています。理由がある場合には個別に対応する、という形です。
なぜ遠慮いただくのかというと、本人の言葉で聞きたいからに尽きます。自己理解や配慮事項をどう説明できるかは、この記事でもずっと書いてきたとおり、採用の判断で大きな比重を占めます。そこを支援員が補ってしまうと、肝心のところが見えなくなってしまうんです。
一方で、同席を受け入れている会社も相応にあると思います。だからこそ、確認するしかありません。
「支援機関の担当者に同席していただくことは可能でしょうか。難しい場合は、事前または事後に担当者から情報をお伝えすることはできますか」
後半をセットで聞いておくと、断られたときにも次の手が残ります。そしてもうひとつ。同席できなくても、支援機関を使っていること自体は必ず伝えてください。
4章でお伝えしたとおり、困ったときに一緒に考えてくれる人がいると分かることは、採用側にとって安心材料です。同席の可否と、連携が評価されるかどうかは、まったく別の話なんですよね。
※この章の疑問は、Yahoo!知恵袋およびGoogle検索で実際に投稿・検索されている内容をもとにしています。回答は私が勤務する特例子会社での運用と、採用担当としての経験にもとづくものです。会社によって運用は異なります。
疑問がひととおり片付いたところで、最後の章です。ここまで読んで「一人で準備するのは難しそうだ」と感じた方に向けて、使える選択肢を整理します。
8. 一人で準備するのが不安なときの選択肢

ここまで読んで、「言いたいことは分かったけれど、これを自分の言葉にできる気がしない」と感じた方もいると思います。
私は、それが普通だと思っています。自分の特性を言葉にする作業は、一人でやるには荷が重いんですよね。第三者の目が入るだけで、驚くほど進みます。使えるものを3つ挙げます。
8-1. 就労移行支援で、面接練習を重ねる
いちばん時間をかけられるのが、就労移行支援です。
理由は、単発の面接練習ではなく、通所そのものが面接で話せる材料になるからです。3章で通所実績の話をしましたが、あれは訓練の副産物として自然に手に入ります。
私自身、通っていた期間に支援員へ体調の変化を事前連絡し、報告する習慣がつきました。これが実際の業務にも通じる練習になったんです。「困ったときに相談できるか」を採用側が見ている、と1章でお伝えしましたよね。その実績が、通所の中で積み上がっていきます。
配慮事項の言語化も、支援員と一緒に進められます。自分では当たり前だと思っていたことが、外から見ると立派な配慮事項だった、ということはよくあります。
選ぶときのポイントは、通えるかどうかと、プログラムの中身が自分の方向と合っているかの2つです。私が2回目に事業所を選んだときも、この2点で決めました。

どこも同じように見えて、選び方が分かりません。

私は人事・採用の仕事で事業所の方々と直接やり取りしていたので、選ぶときの目安を持てました。その経験から言うと、見学と体験利用は必ず複数か所でしてください。パンフレットでは分かりません。通っている方の様子と、支援員との相性で、続けられるかが決まります。
まずは見学から始めたい方へ。模擬面接や職場体験まで含めて、就職までを一緒に進めてもらえます。
IT系やデータ分析の方向に興味がある方なら、こちらも候補になります。私が通っていた当時は事業所数が少なくて知らなかったのですが、今このカリキュラムがあって通える範囲にあったなら、間違いなく候補に入れていました。
8-2. 転職エージェントに、模擬面接を頼む
すでに体調が安定していて、応募したい求人がある方は、エージェントのほうが早いです。
エージェントを使う価値は、求人紹介そのものより、企業ごとの傾向を知っていることにあります。
私は採用担当として、エージェントの担当者と日常的にやり取りをしていました。求人を出すとき、こちらから「今回はこういう業務なので、こういう方が合う」という話を必ずしています。つまりエージェントは、求人票に書かれていない部分を聞いているわけです。
模擬面接を頼めば、その会社が何を重視しているかを踏まえた練習ができます。これは一人ではどうにもなりません。
2社をどう使い分けるかは、精神障害の転職サイトはどっち?で詳しく比較しています。
8-3. ハローワークの、障害者専門の窓口を使う
費用をかけずに始めたいなら、ここからでも十分です。
ハローワークには、障害のある求職者の方向けに専門的に相談にのる窓口が置かれています。呼び名は所によって違い、専門援助部門、専門援助コーナー、障害者援助部門などと案内されています。
専門知識のあるスタッフが担当者制で対応し、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターとも連携する体制がとられています。
(出典:厚生労働省「障害者に関する窓口」)
面接対策という点では、応募書類の添削と、求人を出している企業についての情報が得られるのが大きいところです。地域の求人を最もよく知っているのは、やはりハローワークなんですよね。
3つのうちどれか1つ、ではありません。就労移行支援に通いながらハローワークにも登録する、といった組み合わせは普通にできます。
※各サービスの詳細な条件・対応エリアは変更されることがあります。申し込み前に各公式サイトでご確認ください。
まとめ
長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に、いちばんお伝えしたかったことを3つに絞ります。
1つ目。聞かれることは、だいたい決まっています。
自己紹介、職務経歴、志望動機、退職理由、長所と短所。そして障害の内容、通院と服薬、不調時の対処、必要な配慮、通勤と勤務日数、得意と苦手。この11個を準備しておけば、想定外の質問はほとんど残りません。
2つ目。落ちる理由は、障害があることではありません。
採用側が見ているのは、病名ではなく勤務の安定性です。そして申告された配慮事項は、落とす材料ではなく、配置と環境を決める材料として使われています。苦手を伝えることは、リスクではないんです。伝えなかった苦手のほうが、入社後にあなたを苦しめます。
3つ目。面接の場で見られているのは、完璧さではありません。
自分の状態を分かっていて、それを言葉にできて、困ったときに相談できる。この3つが揃っていれば、体調に波があること自体は問題になりません。私が面接する側にいたときも、そこを見ていました。
私自身、一般雇用で3社を経験して、そのどこでも倒れました。障害者雇用に移ってからも、13年目にもう一度休職しています。順調だった人間がこれを書いているわけではありません。
それでも、続けられています。最初の配属がしっくりこなくても、途中で崩れても、戻る道はありました。
面接は、あなたが会社に選ばれる場であると同時に、あなたが会社を確かめる場でもあります。どうか、自分を小さく見せる必要はありません。準備したことを、そのまま話してきてください。
応援しています。


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