はじめに
「障害者雇用って、本当は企業からどう思われているんだろう…」
障害者雇用での就職や転職を考えたとき、一度はこんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
インターネットには「障害者雇用は働きやすい」「企業は配慮してくれる」といった情報がたくさんあります。
一方で、
「結局は雇用率達成のための数合わせでは?」
「精神障害だと不利なのでは?」
といった不安の声も少なくありません。
私自身も、かつてはその一人でした。
私は一般雇用で働いていましたが、うつ病と双極性障害(気分の落ち込みと高揚を繰り返す精神疾患)を発症し、仕事を続けることが難しくなりました。
その後、精神障害者保健福祉手帳を取得し、就労移行支援(障害のある人の就職をサポートする福祉サービス)に通いながら再就職を目指しました。
そして障害者雇用枠で大手企業の特例子会社に入社し、現在まで10年以上継続して働いています。
この10年の間には、事務職、管理部門、業務改善など、さまざまな部署を経験させてもらいました。
さらに、人事部門で採用業務にも携わり、応募者の書類選考や面接、採用後の定着支援なども経験しています。
その中で感じたのは、障害者雇用における企業の「建前」と「本音」には、少なからず違いがあるということなんです。
もちろん、企業が障害者を採用する背景には、法定雇用率(一定割合以上の障害者雇用を企業に義務付ける制度)の存在があります。
しかし実際の採用現場では、それだけでは説明できない判断が日々行われています。
私が採用担当を経験した中で何度も感じたのは、人事担当者が見ているのは障害名そのものではなく、
「この人は長く安心して働けそうか」
「職場と良い関係を築けそうか」
という点だったことです。
本記事では、障害者雇用で10年以上働いてきた当事者としての経験と、人事・採用担当として見てきた企業側の視点の両方から、障害者雇用における人事担当者の本音をできるだけ率直にお伝えしていきます。
これから障害者雇用で働きたいと考えている方が、面接や就職活動の不安を少しでも減らせる内容になれば嬉しいです。
1. 障害者雇用における人事担当者の本音とは?

(障害者雇用 人事 本音)
障害者雇用を目指していると、「企業は本当は何を考えているのだろう?」と気になることはありませんか?
私自身、一般雇用からうつ病と双極性障害を経験し、精神障害者保健福祉手帳を取得して就労移行支援に通いました。
その後、大手企業の特例子会社に障害者雇用で入社し、現在まで10年以上勤務しています。
さらに、現場業務だけでなく人事・採用担当も経験したことで、応募者側と採用する側の両方の立場を見る機会がありました。
この章では、私が実際に見てきた「人事担当者の本音」についてお話しします。
1-1 人事には「建前」と「本音」が存在する
結論から言うと、人事担当者には建前と本音の両方があります。
なぜなら、企業は法律を守る立場である一方、組織運営も考えなければならないからです。
建前としては、次のような方針があります。
- 障害の有無に関係なく公平に選考する
- 合理的配慮(障害特性に応じた配慮)を提供する
- 誰もが働きやすい職場を目指す
- 多様性(ダイバーシティ)を推進する
もちろん、これらは嘘ではありません。
しかし採用現場では、それだけでは判断できない場面がたくさんあるんです。
私が採用担当をしていた頃も、「この方の障害は問題ない。でも職場で長く働けるだろうか?」という議論は何度もありました。
逆に、障害特性が重く見えても、自分の状態を正確に説明できていて、支援機関とも連携できている方は高く評価されていました。
つまり人事担当者の本音は、「障害があるかどうか」ではなく、「一緒に働くイメージが持てるか」に近いんですよね。
1-2 本音① 雇用率達成は重要なミッション
企業にとって障害者雇用率の達成は、避けて通れないミッションです。
なぜなら、法定雇用率(企業が一定割合以上の障害者を雇用する義務)が定められているからです。
民間企業の法定雇用率は、2024年4月から2.5%となり、2026年7月に2.7%へ引き上げられました。
出典:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
企業が基準を下回ると、
- 障害者雇用納付金制度の対象になる
- 行政指導を受ける場合がある
- 企業イメージに影響する
- ESG評価(企業の社会的評価)にも関わる
といった事情があります。
そのため、人事部門には「雇用率を達成する」という明確な目標があります。
実際に私が所属していた会社でも、採用計画会議の中で雇用率の数字が共有されていました。
ただし、ここで誤解してほしくないのは、「だから誰でも採用する」という話ではないということです。
雇用率は大事です。
しかし、採用後すぐに退職してしまえば、企業側も本人側も不幸な結果になってしまいます。
採用担当者は数字だけを見ているわけではないんです。
1-3 本音② しかし本当に欲しいのは「長く働ける人」
採用担当者が本当に求めているのは、長く安定して働ける人です。
理由はシンプルで、採用には時間もコストもかかるからです。
例えば、1人を採用するまでには次のような工程があります。
- 求人掲載
- 書類選考
- 面接実施
- 入社手続き
- 教育・研修
- 定着支援
これらを含めると、1人採用するために数十時間以上の工数が発生します。
そのため、採用担当者は面接で「優秀かどうか」だけではなく、「1年後も働いているイメージが持てるか」を見ています。
私が面接官を担当した際にも、
「配慮事項はありますか?」
という質問を必ずしていました。
これは応募者を試しているのではありません。
入社後に安心して働ける環境を作れるか確認しているんです。
例えば、
「毎週水曜日に通院があります」
「疲労が蓄積しやすいので残業は難しいです」
と具体的に説明できる方は、採用後のイメージが持ちやすくなります。
反対に、
「特にありません」
「働いてみないと分かりません」
となると、企業側も判断が難しくなってしまうんですよね。
1-4 本音③ 障害よりも安定就労できるかを見ている
人事担当者が最終的に見ているのは、障害名ではなく安定就労の可能性です。
これは、私が応募者側だった頃に思っていたことと、実際に採用担当になってから感じたことが大きく違った部分でもあります。
私は就労移行支援に通っていた頃、「精神障害だから不利なのでは」と考えていました。
しかし採用担当になって分かったのは、精神障害だから不採用になるのではなく、次のような部分が見られていたということです。
- 生活リズムが安定しているか
- 通勤を継続できるか
- 服薬管理ができているか
- 困った時に相談できるか
- 支援機関と連携できているか
実際に私の勤務先でも、精神障害のある社員が数多く活躍しています。
中には私と同じように10年以上勤務している社員もいますし、管理職として活躍している方もいます。
障害名だけで評価される時代ではなくなりつつあります。
だからこそ、「自分はどのような配慮があれば働けるのか」「どのような環境なら力を発揮できるのか」を整理しておくことが、採用担当者の安心材料になるんです。
章まとめ
人事担当者の本音は、「障害があるかどうか」ではなく「長く安定して働けるか」にあります。
次の章では、実際に人事担当者が「ぜひ採用したい」と感じる応募者の特徴について、さらに具体的に掘り下げていきます。
2. 人事担当者が採用したい障害者の特徴

(障害者雇用 採用される人)
「障害者雇用では、どんな人が採用されやすいのだろう?」
これは就職活動中の多くの方が気になるポイントではないでしょうか。
私自身、精神障害者として障害者雇用で入社し、現在まで10年以上働いています。
また、人事・採用担当として数多くの応募者の面接にも携わってきました。
その経験から感じるのは、採用担当者が見ているポイントは意外とシンプルだということです。
学歴や職歴よりも、「入社後に安定して働けるイメージが持てるか」が重視される傾向があります。
ここでは、人事担当者が「ぜひ採用したい」と感じる応募者の特徴を紹介していきます。
2-1 自分の障害特性を理解している
採用担当者が最も安心できるのは、自分の障害特性を理解している人です。
なぜなら、企業は応募者本人以上に障害の状態を知ることができないからです。
例えば同じ双極性障害でも、人によって症状は大きく異なります。
- 睡眠不足で体調を崩しやすい
- 人混みで強い疲労を感じる
- ストレスが続くと抑うつ状態になりやすい
- 集中力が低下しやすい
私自身、就労移行支援に通っていた頃は、自分の障害についてうまく説明できませんでした。
面接で「どのような配慮が必要ですか?」と聞かれても、「体調が悪くなることがあります」と曖昧な回答しかできなかったんです。
しかし就労移行支援で自己分析を繰り返した結果、
「睡眠時間が6時間以下になると調子を崩しやすい」
「長時間のマルチタスク(複数業務の同時進行)が苦手」
と具体的に説明できるようになりました。
採用担当者は医師ではありません。
だからこそ、本人が自分の状態を分かりやすく説明できると、安心材料になるんですよね。
2-2 困った時に相談できる
採用後に長く働いている人ほど、早めに相談する傾向があります。
理由は、問題が大きくなる前に対処できるからです。
実際に私が人事担当だった頃も、離職につながるケースの多くは「相談できなかった人」でした。
例えば、次のような変化を一人で抱え込んでしまうケースです。
- 業務量が増えていた
- 人間関係で悩んでいた
- 体調が悪化していた
- 通院状況が変わっていた
一方で、
「最近疲れが溜まっています」
「業務の優先順位を相談したいです」
と早めに声をかけられる方は、結果的に安定就労につながりやすいんです。
相談できることは弱さではありません。
むしろ組織で働くうえでは、大きな強みとして評価されることもあるんですよ。
2-3 配慮事項を具体的に説明できる
採用担当者は、配慮事項が具体的な応募者を高く評価します。
理由は、採用後の職場環境をイメージしやすいからです。
例えば、次のような伝え方です。
良い例
- 月1回の通院のため半日休暇が必要
- 残業は月5時間以内を希望
- 指示は口頭だけでなく文章でも欲しい
反対に、次のような言い方だと企業側は判断に迷います。
悪い例
- 特別な配慮をお願いします
- 働いてみないと分かりません
- 状況次第です
この違いは非常に大きいんです。
私も面接官時代に感じましたが、具体的な配慮は検討できます。
しかし抽象的な要望は、どの部署で、どの業務なら可能なのかを判断しづらくなります。
応募者側は「わがままだと思われるのでは」と心配するかもしれません。
ところが実際には、具体的に伝えてくれた方が企業側も準備しやすいんですよね。
2-4 欠勤リスクが低い
採用担当者が気にしているのは、病名ではなく勤務の安定性です。
なぜなら、どんなに能力が高くても、出勤できなければ仕事を継続することが難しいからです。
もちろん、体調不良や通院で休むこと自体は問題ではありません。
企業が見ているのは、次のような点です。
- 生活リズムが整っているか
- 通院が継続できているか
- 服薬管理ができているか
- 定期的な欠勤がないか
私自身、障害者雇用で入社する前に、就労移行支援へ約1年通いました。
平日5日間、決まった時間に通所する訓練を続けたことで、生活リズムが安定しました。
その経験は面接でも大きなアピール材料になりました。
採用担当者からすると、「毎日決まった時間に通所できている」という事実は非常に分かりやすい実績なんです。
欠勤ゼロである必要はありません。
安定して働く準備ができているかが見られているんですよ。
2-5 就労支援機関と連携している
人事担当者は、就労支援機関と連携している応募者に安心感を持つことがあります。
理由は、入社後も相談先があるからです。
具体的には、次のような機関があります。
- 就労移行支援
- 就業・生活支援センター
- 障害者職業センター
- ハローワーク専門援助部門
私の勤務先でも、入社後に就労移行支援の担当者と定着面談(就職後のフォロー面談)を行うケースがありました。
企業・本人・支援機関の三者で情報共有できるため、問題が起きても早めに対応しやすいんです。
私自身も就労移行支援を利用していた経験があります。
当時は「支援を受けるのは恥ずかしい」と思ったこともありました。
しかし今振り返ると、支援機関との連携があったからこそ、障害者雇用で10年以上働き続けられているのかもしれません。
人事担当者の立場から見ても、支援機関を活用していることは決してマイナス評価にはなりませんでした。
むしろ「働く準備をしっかり進めている方」という印象につながることが多かったんですよね。
章まとめ
人事担当者が採用したいのは、特別に優秀な人ではありません。
自分の障害を理解し、困った時に相談できて、安定して働く準備ができている人です。
次の章では、人事担当者が不採用を判断する本当の理由について、採用現場の視点から詳しく解説していきます。
3. 人事担当者が不採用にする本当の理由

(障害者雇用 採用されない理由)
障害者雇用の面接で不採用になると、「やっぱり障害があるからダメだったのかな…」と考えてしまうことはありませんか?
私自身、うつ病と双極性障害を経験し、障害者雇用で就職活動をしていた頃は同じように悩んでいました。
しかし、その後人事・採用担当を経験して分かったのは、不採用の理由は応募者が想像しているものとは少し違うということです。
この章では、実際の採用現場で見られているポイントを、人事担当者の視点からお伝えします。
3-1 障害そのものが理由ではない
結論から言うと、不採用の理由が「障害名そのもの」であるケースは多くありません。
なぜなら、障害者雇用は障害のある方を前提として採用する制度だからです。
例えば、次のようにさまざまな障害のある方が応募してきます。
- うつ病
- 双極性障害
- 発達障害
- 統合失調症
- 身体障害
- 内部障害
採用担当者は障害名だけで判断しているわけではありません。
実際に私の勤務先でも、精神障害のある社員が数多く働いています。
私自身も双極性障害の当事者ですが、10年以上勤務を続けています。
採用会議でも、
「双極性障害だから難しい」
という話になったことはほとんどありませんでした。
その代わり、
「現在の体調は安定しているか」
「働く準備が整っているか」
といった話が中心だったんです。
もし不採用だったとしても、障害名だけが理由だと決めつける必要はないんですよね。
3-2 配慮内容が曖昧
採用担当者が悩むのは、配慮事項が分からないケースです。
理由は、企業側が受け入れ準備を進められないからです。
例えば、
「どんな配慮が必要ですか?」
という質問に対して、次のような回答になることがあります。
- 特にありません
- 分かりません
- 働いてみないと分かりません
もちろん正直な回答ではあります。
しかし採用担当者からすると、
「実際に働き始めたらどのような支援が必要になるのだろう」
という不安が残ってしまいます。
一方で、
- 月1回の通院がある
- 電話対応は少ない方が助かる
- 指示は文章でももらいたい
など具体的な説明があると、職場での受け入れイメージが持ちやすくなります。
私も採用担当時代に感じましたが、配慮が多いこと自体は問題ではありません。
何を配慮すればよいのかが見えない方が、判断に迷うんですよね。
3-3 勤怠への不安が大きい
不採用理由として最も多いのが、勤怠への不安かもしれません。
企業にとって、安定して出勤できることは仕事の土台だからです。
例えば面接で、
「ここ3か月で欠勤が10回以上あります」
「昼夜逆転が続いています」
「服薬管理ができていません」
という状況だと、採用後の勤務継続をイメージしづらくなります。
私が人事担当だった頃も、能力面は問題ないけれど勤務継続に不安がある、という理由で見送りになったケースがありました。
逆に、次のような実績がある方は高く評価される傾向がありました。
- 就労移行支援へ週5日通所している
- 半年以上安定している
- 通院や服薬を継続している
採用担当者が見ているのは「欠勤ゼロ」ではありません。
今の状態で安定して働けそうかどうかなんです。
3-4 業務遂行能力が見えない
企業は慈善事業ではなく、仕事を通じて価値を生み出す組織です。
そのため、何ができるのかが分からない場合は採用判断が難しくなります。
例えば、次のような経験が見えると評価しやすくなります。
- Excel(表計算ソフト)が使える
- データ入力経験がある
- 接客経験がある
- 軽作業経験がある
私自身、就労移行支援時代にWordやExcelの訓練を受けていました。
当時は「こんな訓練に意味があるのかな」と思っていましたが、面接では意外と評価されたんです。
反対に、
「何でもやります」
だけでは採用担当者は判断できません。
応募先の仕事内容に対して、自分がどのように貢献できるのかを伝えられる方が印象に残ります。
仕事の能力は完璧でなくても構いません。
ただし、何ができるのかが見える応募者は強いんですよね。
3-5 コミュニケーション面の懸念
最後に見落とされがちなのが、コミュニケーション面です。
理由は、どの職場でも人との関わりが発生するからです。
ここでいうコミュニケーション能力とは、話が上手、明るい性格、社交的という意味ではありません。
採用担当者が見ているのは、次のような部分です。
- 質問に答えられるか
- 分からないと言えるか
- 報告や相談ができそうか
- 相手の話を聞けるか
実際に私が面接官をしていた時も、緊張して上手く話せない応募者はたくさんいました。
それ自体はマイナス評価ではありません。
しかし、
質問への返答が極端にかみ合わない
困った時の対応方法が見えない
相談する意思が感じられない
というケースでは、採用後の職場適応に不安が残ることがありました。
職場は一人で完結する場所ではありません。
だからこそ、「必要な時に周囲と連携できるか」が見られているんです。
章まとめ
障害者雇用で不採用になる理由は、障害名そのものよりも「働く準備がどれだけ整っているか」に関係しているケースが多くあります。
人事担当者が見ているのは、配慮事項の明確さ、勤怠の安定性、業務遂行能力、そして職場でのコミュニケーションです。
次の章では、精神障害・発達障害に対して企業がどのような本音を持っているのかを、さらに踏み込んで解説していきます。
4. 精神障害・発達障害に対する企業の本音

(精神障害 本音・発達障害 本音)
障害者雇用を目指している方の中には、
「精神障害だと採用されにくいのでは?」
「発達障害は企業に敬遠されるのでは?」
と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
実は私自身も、就職活動中は同じことを考えていました。
うつ病と双極性障害を経験し、精神障害者保健福祉手帳を取得した時には、「もう一般企業で働くのは難しいかもしれない」と思ったこともあります。
しかし、その後障害者雇用で入社し、人事・採用担当も経験したことで見えてきた現実があります。
この章では、精神障害や発達障害に対して企業がどのような本音を持っているのかを、採用現場の視点からお伝えします。
4-1 精神障害で企業が不安視するポイント
結論から言うと、企業が不安に感じるのは精神障害そのものではなく「状態の安定性」です。
なぜなら、採用担当者は医師ではなく、応募者の将来の体調を予測できないからです。
特に面接で確認されやすいのは、次のような点です。
- 現在の体調は安定しているか
- 通院や服薬を継続しているか
- 睡眠リズムは整っているか
- ストレスへの対処方法を持っているか
- 再発時の対応方法を理解しているか
私が採用担当だった頃も、
「うつ病だから不採用」
という判断をしたことはありませんでした。
しかし、
「最近まで休職していた」
「服薬を自己判断で中断している」
「体調悪化時の対処法が分からない」
というケースでは、勤務継続への不安が残ることがありました。
逆に、
「ここ1年間は安定して通院している」
「主治医から就労可能の判断をもらっている」
「疲れた時は早めに相談するようにしている」
という説明ができる方は安心感がありました。
精神障害であることよりも、現在どのような状態なのかが見られているんですよね。
4-2 発達障害で企業が不安視するポイント
発達障害の場合も、障害名そのものが問題になるわけではありません。
企業が気にしているのは、業務との相性です。
発達障害(ASD・自閉スペクトラム症、ADHD・注意欠如多動症など)は特性の幅が非常に広いため、一人ひとり状況が異なります。
採用担当者が確認したいのは、次のような部分です。
- 指示理解にどの程度配慮が必要か
- 業務手順を守れるか
- 優先順位付けができるか
- 対人コミュニケーションに課題があるか
- 得意不得意を理解しているか
例えば、
「口頭指示だけだと忘れてしまうが、メモやチャットなら対応できる」
「マルチタスクは苦手だが、ルーチン業務は得意」
という説明があると、職場配置を検討しやすくなります。
一方で、
「何が苦手なのか自分でも分からない」
という状態だと、企業側も受け入れ方法を考えにくくなってしまいます。
発達障害の方の中には、非常に高い集中力や正確性を発揮する方も少なくありません。
実際に私の職場でも、データ入力や品質チェック業務で高い評価を受けている社員がいます。
企業が見ているのは障害名ではなく、仕事とのマッチングなんです。
4-3 実際は障害名より個人差が大きい
採用担当を経験して最も強く感じたのは、障害名だけでは何も分からないということでした。
理由は、同じ診断名でも状態がまったく違うからです。
例えば、双極性障害だけでも状況はさまざまです。
- 10年以上安定して勤務している人
- 体調の波が大きい人
- 通院でコントロールできている人
- 復職直後の人
これは発達障害も同じです。
私自身も双極性障害という診断名があります。
しかし、人事担当になって面接を行う側になった時、「同じ病名だから似ている」という感覚はほとんどありませんでした。
むしろ見ていたのは、個人ごとの情報です。
- 今どんな状態なのか
- どんな配慮が必要なのか
- どんな仕事が得意なのか
- 職場で継続できそうか
あなたも就職活動中に「精神障害だから不利」「発達障害だから厳しい」と考えてしまうことがあるかもしれません。
しかし採用現場では、病名よりも本人の状況を見ているケースが圧倒的に多いんです。
4-4 採用担当者が安心できる伝え方
採用担当者が安心できるのは、障害について正直かつ具体的に説明してくれる応募者です。
なぜなら、採用後の職場環境をイメージしやすくなるからです。
私が面接官として好印象を持った応募者には共通点がありました。
それは、「課題だけでなく対策も説明できる」ということです。
悪い例
「ストレスに弱いです」
「体調を崩しやすいです」
良い例
「ストレスが続くと睡眠に影響が出ます。そのため週1回の通院と服薬管理を継続しています」
「疲労が蓄積すると集中力が落ちるため、定期的に上司へ相談しています」
この違いは非常に大きいんです。
採用担当者は完璧な人材を探しているわけではありません。
障害特性があっても、次のような状態であれば、安心して採用を検討できます。
- 自己理解ができている
- 配慮事項が整理されている
- 対処方法を持っている
- 必要時に相談できる
私自身も就労移行支援で自己分析を繰り返し、自分の障害特性を整理できたことが採用につながったと感じています。
面接で無理に良く見せる必要はありません。
ありのままの状況と対処方法を伝えた方が、結果的に企業とのミスマッチも減るんですよね。
章まとめ
精神障害や発達障害に対して企業が見ているのは、障害名そのものではなく「安定して働ける状態にあるか」です。
採用担当者は病名よりも、現在の体調、自己理解の深さ、配慮事項の明確さ、そして困った時に相談できるかを見ています。
次の章では、面接で人事担当者が実際にどのようなポイントを確認しているのかを、さらに具体的に解説していきます。
5. 面接で人事担当者が見ているポイント

(障害者雇用 面接 本音)
障害者雇用の面接を控えていると、
「何を聞かれるんだろう?」
「障害のことをどこまで話せばいいんだろう?」
と不安になりますよね。
私自身、就労移行支援に通いながら就職活動をしていた頃は、面接が近づくたびに緊張していました。
そして採用された後、人事・採用担当として面接官を経験したことで、応募者だった頃には見えなかった採用側の視点も知ることができました。
実際のところ、人事担当者は障害名だけを見ているわけではありません。
この章では、面接で本当に見られているポイントについてお話しします。
5-1 障害説明よりも自己理解を見ている
面接で最も見られているのは、障害名ではなく自己理解です。
なぜなら、同じ病名でも働き方や必要な配慮が大きく異なるからです。
例えば、
「双極性障害です」
という説明だけでは、採用担当者には何も伝わりません。
一方で、次のような点まで説明できると、職場で働く姿がイメージしやすくなります。
- どんな時に体調を崩しやすいか
- どのような配慮があると働きやすいか
- 自分なりの対処法は何か
- 現在の体調はどうか
私自身も就職活動当初は、
「双極性障害です」
「通院しています」
程度しか説明できませんでした。
しかし就労移行支援で自己分析を繰り返した結果、
「睡眠不足が続くと体調が不安定になる」
「業務の優先順位を整理すると力を発揮しやすい」
と具体的に説明できるようになりました。
採用担当者は病気の専門家ではありません。
だからこそ、自分自身を理解している応募者に安心感を持つんですよね。
5-2 配慮事項の具体性
面接で評価が分かれやすいのが、配慮事項の伝え方です。
理由は、企業が採用後の受け入れ体制を検討する材料になるからです。
私が面接官としてよく質問していたのは、
「職場で必要な配慮はありますか?」
という内容でした。
この時、
「特にありません」
と答える方もいます。
もちろん本当に配慮が不要な場合もあります。
しかし障害者雇用で応募している以上、何らかの配慮が必要なケースも少なくありません。
例えば、次のように具体的に説明できる方は評価しやすくなります。
- 月1回の通院がある
- 指示は文章でも欲しい
- 電話応対は苦手
- 残業は難しい
反対に、
「その時にならないと分かりません」
「全部配慮してください」
という状態だと判断が難しくなります。
配慮事項を伝えることは不利になるどころか、企業とのミスマッチを防ぐための大切な情報共有なんです。
5-3 継続勤務できそうか
採用担当者が常に考えているのは、「この方は長く働けそうか」という点です。
企業にとって採用はゴールではありません。
入社後に定着して活躍してもらうことが目的です。
実際に面接では、次のような内容が確認されます。
- 生活リズム
- 通院状況
- 服薬状況
- 就労経験
- 現在の活動状況
私の勤務先でも、採用会議で話題になるのは能力だけではありませんでした。
むしろ、
「半年後も勤務できているイメージが持てるか」
という視点で話し合われることが多かったんです。
例えば、就労移行支援に1年以上継続して通所している方、週5日安定して活動できている方、生活リズムが整っている方は安心材料になります。
逆に能力が高くても、体調面に大きな不安が残る場合は慎重な判断になることがあります。
企業が見ているのは、今日の面接だけではありません。
入社後の未来なんですよね。
5-4 就労準備が整っているか
最後に見られているのが、働く準備が整っているかどうかです。
理由は、就職後の定着率に大きく関係するからです。
採用担当者が確認したいのは、次のような部分です。
- 毎日決まった時間に起きられるか
- 通勤できる体力があるか
- 基本的なビジネスマナーがあるか
- 必要なスキルを学んでいるか
- 支援機関と連携できているか
私も就労移行支援へ約1年間通いました。
当時は毎日通所するだけでも大変でしたが、人事担当になってからその意味がよく分かりました。
週5日、決まった時間に通所していた実績は、
「毎日出勤する準備ができている」
という証明になっていたんです。
また、Excel(表計算ソフト)、Word(文書作成ソフト)、ビジネスマナー、報告・連絡・相談などを学んでいることも評価につながります。
完璧な準備は必要ありません。
ただ、「働くために準備してきた」という事実は面接官にしっかり伝わるものなんですよ。
章まとめ
障害者雇用の面接で人事担当者が見ているのは、障害名や症状の重さではありません。
自己理解の深さ、配慮事項の明確さ、継続勤務の可能性、そして就労準備の状況です。
次の章では、採用後の職場で実際に起きている課題や、障害者雇用が長続きしない理由について掘り下げていきます。
6. 障害者雇用の現場で起きている「本当の課題」

(障害者雇用 長続きしない)
障害者雇用で就職できたとしても、それがゴールではありません。
実際には「採用後に長く働き続けること」の方が難しいケースもあります。
あなたは「せっかく入社したのに数か月で退職してしまった」「障害者雇用は長続きしない」という話を聞いたことはないでしょうか?
私自身、双極性障害の当事者として障害者雇用で入社し、10年以上勤務を続けています。
また、人事・採用担当として多くの社員の定着支援にも関わってきました。
その経験から感じるのは、離職の原因は単純ではないということです。
企業側にも悩みがあり、働く本人にも悩みがあります。
ここでは現場で実際に起きている課題についてお話しします。
6-1 離職率が高くなる理由
結論から言うと、離職の多くは「障害があるから」ではなく、入社後のギャップによって起こります。
なぜなら、就職活動中に想像していた職場と、実際の職場が違うことが少なくないからです。
例えば、次のようなケースがあります。
- 思ったより業務量が多かった
- 人間関係に馴染めなかった
- 配慮が十分に受けられなかった
- 仕事内容が合わなかった
- 体調管理と仕事の両立が難しかった
私が人事担当だった頃にも、
「仕事そのものは嫌ではないけれど、人間関係が合わなかった」
「想定していた業務内容と違った」
という理由で退職した社員がいました。
反対に、障害特性があっても長く働いている方には共通点が見られました。
- 困った時に相談できる
- 自己理解が進んでいる
- 職場との信頼関係がある
私自身も入社直後は不安だらけでした。
しかし上司や支援機関と定期的に相談しながら働いたことで、結果的に10年以上勤務できています。
離職率の高さだけを見るとネガティブに感じるかもしれませんが、その背景にはさまざまな事情があるんですよね。
6-2 人事担当者が悩む定着支援
実は、人事担当者も定着支援に悩んでいます。
企業側は採用すれば終わりではなく、その後も継続して働いてもらいたいと考えているからです。
特に障害者雇用では、次のような対応が必要になります。
- 定期面談の実施
- 業務量の調整
- 配慮内容の見直し
- 主治医や支援機関との連携
- 上司へのフォロー
私も採用担当を経験して驚いたのですが、入社後の支援にかかる時間は想像以上でした。
例えば、本人は「問題ありません」と話していても、実際には疲労が蓄積しているケースがあります。
逆に、上司は心配していても本人は困っていない場合もあります。
この認識のズレを埋めるために、人事担当者は定期的な面談やフォローを続けています。
企業側も万能ではありません。
だからこそ、本人からの相談や情報共有が非常に助かるんです。
6-3 合理的配慮だけでは解決しない問題
近年は合理的配慮(障害のある方が働きやすくなるための個別対応)が広がっています。
2024年4月1日からは、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。
出典:リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」 – 内閣府
しかし現場では、合理的配慮だけでは解決できない問題もあります。
なぜなら、仕事は人と人との関わりの中で進むからです。
例えば、次のような問題は配慮だけでは改善しないことがあります。
- 上司との相性
- 職場の雰囲気
- チーム内のコミュニケーション
- キャリアへの不安
- 自己肯定感の低下
私自身も入社して数年経った頃、
「仕事はできているのに自信が持てない」
という時期がありました。
業務上の配慮は十分ありましたが、それだけで気持ちの問題が解決したわけではありません。
仕事を続けるためには、職場との信頼関係、自己理解、周囲とのコミュニケーションも大きく関係しています。
合理的配慮は非常にありがたい制度です。
ただ、それだけですべてが解決するわけではないんですよね。
6-4 企業と本人のミスマッチ
障害者雇用で大きな課題の一つがミスマッチです。
これは企業側にも本人側にも原因がある場合があります。
例えば企業側では、次のようなケースがあります。
- 業務内容を十分説明していない
- 配慮可能範囲を明確にしていない
- 障害理解が不足している
一方で本人側も、次のようなケースがあります。
- 本当の配慮事項を伝えていない
- 無理をして良く見せている
- 苦手な業務を隠している
私が面接官だった頃にも、
「残業できます」
と答えて入社したものの、実際には体調的に難しかったケースがありました。
本人は採用されたい一心だったのだと思います。
しかし結果的にお互いが苦しくなり、早期退職につながってしまいました。
反対に長く働いている方は、
「ここまではできる」
「これは配慮してほしい」
を正直に伝えていることが多い印象です。
私自身も面接では、自分の障害特性や苦手なことをできる限り説明しました。
当時は不安もありましたが、結果として入社後のギャップが少なく、長期就業につながったと感じています。
企業も本人も、面接の段階で本音を共有できるか。
実はそこが定着率を左右する大きなポイントなのかもしれません。
章まとめ
障害者雇用が長続きしない理由は、障害そのものではなく、職場とのミスマッチや入社後のギャップにあるケースが少なくありません。
人事担当者も定着支援に悩みながら試行錯誤しています。
次の章では、障害者雇用は本当に「数合わせ」なのかを、人事の現実とあわせて掘り下げます。
7. 障害者雇用は「数合わせ」なのか?

(障害者雇用 雇用率)
障害者雇用について調べていると、
「企業は雇用率を達成するために採用しているだけでは?」
「結局は数合わせなんじゃないの?」
という意見を目にすることがあります。
私自身も障害者雇用で就職活動をしていた頃は、同じ疑問を持っていました。
しかし、実際に障害者雇用で10年以上働き、人事・採用担当も経験した今は、少し違う見方をしています。
確かに企業には雇用率達成というミッションがあります。
一方で、それだけでは説明できない現実もあります。
この章では、「障害者雇用=数合わせ」と言われる理由と、現場で感じた本音についてお話しします。
7-1 法定雇用率制度の仕組み
まず理解しておきたいのが、法定雇用率制度(企業に一定割合以上の障害者雇用を義務付ける制度)の存在です。
2026年6月時点の民間企業の法定雇用率は2.5%です。
そして、2026年7月から2.7%へ引き上げられました。
出典:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
例えば従業員1,000人の企業であれば、2.7%の場合、単純計算で27人以上の障害者を雇用する必要があります。
この制度があるため、多くの企業では人事部門に対して、
「法定雇用率を達成する」
という明確な目標が設定されています。
さらに未達成の場合は、次のような対応が必要になることがあります。
- 行政指導
- 企業名公表の可能性
- 納付金制度(一定規模以上の企業)
そのため、人事担当者が雇用率を意識するのは当然のことなんです。
私が人事業務に関わった時も、障害者雇用数の確認は定期的に行われていました。
企業経営の観点から見れば、雇用率達成は避けて通れないテーマなんですよね。
7-2 人事担当者が抱える現実
結論から言うと、人事担当者は雇用率と定着率の両方に悩んでいます。
理由は、採用人数だけ増やしても意味がないからです。
例えば、次のような課題があります。
- 採用してもすぐ離職してしまう
- 配属先が見つからない
- 現場の理解が進まない
- 定着支援の体制が不足している
実際に私が人事担当を経験した時も、
「まず採用しよう」
だけでは話が終わりませんでした。
むしろ、
「どの部署なら活躍できるか」
「どのような配慮が必要か」
「長く働いてもらうにはどうするか」
という議論の方が多かった印象があります。
人事担当者にとって本当に困るのは、採用後すぐに退職してしまうケースです。
採用活動には時間もコストもかかります。
だからこそ、多くの企業は「定着」を重視するようになっているんです。
7-3 数合わせ採用と言われる理由
それでも「数合わせ」と言われる理由は確かにあります。
なぜなら、一部の企業では雇用率達成が最優先になっているケースもあるからです。
例えば、次のような状況では、短期間で採用を進めようとすることがあります。
- 雇用率不足が続いている
- 行政指導が迫っている
- 採用人数だけを目標にしている
求職者からすると、
「本当に私の能力を見ているのかな」
と感じる場面もあるかもしれません。
私自身も就職活動中、
「面接があっという間に終わった」
「仕事内容の説明がほとんどなかった」
という企業に出会ったことがあります。
正直、不安になりました。
一方で現在の勤務先では、次のような確認に時間をかけていました。
- 障害特性の確認
- 配慮事項の確認
- 配属先との調整
- 就労支援機関との連携
その結果、私は10年以上勤務できています。
数合わせ採用と言われる背景には実際の課題もありますが、すべての企業がそうとは言えないんですよね。
7-4 最近は「雇用の質」が重視されている
近年は障害者雇用の考え方が変わりつつあります。
採用人数だけではなく、「雇用の質」が重視されるようになっているからです。
株式会社スタートラインが2026年に実施した「障害者雇用の質の向上に関する意識調査」では、障害者雇用業務に携わる人事担当者100名のうち、約9割が「質の向上」を重要と認識している一方、59%が「雇用率の達成(量の確保)」を優先しているとされています。
なお、この調査は国の統計ではなく、民間企業による調査です。
出典:障害者雇用の「質」、9割が重要と認識も59%が“量優先”~理想と現場の乖離が明らかに~ | 株式会社スタートライン
つまり、企業は次のような複数の目標を同時に追っている状態なんです。
- 雇用率も達成したい
- 長く働いてほしい
- 活躍してほしい
私が入社した十数年前と比べても、キャリア形成支援、定着支援面談、業務範囲の拡大、昇進や昇格制度などに力を入れる企業が増えてきたと感じています。
障害者雇用は「雇うこと」がゴールではありません。
今は、「活躍してもらうこと」「長く働いてもらうこと」へと少しずつ重心が移っているんです。
章まとめ
障害者雇用には法定雇用率という制度があるため、企業が雇用率を意識するのは事実です。
しかし現場の人事担当者は、単なる数合わせではなく「長く活躍してもらえる人材を採用したい」と考えているケースが増えています。
次の章では、特例子会社と一般企業の違いを人事目線で解説します。
8. 特例子会社と一般企業、人事目線ではどう違う?

(障害者雇用 特例子会社)
障害者雇用で就職活動をしていると、「特例子会社と一般企業、どちらが良いのだろう?」と悩む方は多いと思います。
私自身も就労移行支援を利用していた頃、同じ疑問を持っていました。
そして現在は大手企業の特例子会社で10年以上勤務し、人事・採用担当も経験しています。
その経験から言うと、どちらが優れているという話ではありません。
それぞれに特徴があり、向いている人も異なります。
ここでは人事担当者の視点も交えながら、特例子会社と一般企業の違いを解説します。
8-1 特例子会社の特徴
結論から言うと、特例子会社は障害者が働きやすい環境づくりに力を入れている企業が多いです。
特例子会社(親会社の障害者雇用を促進する目的で設立された子会社)は、障害者雇用を前提として運営されています。
そのため、次のような特徴があります。
- 障害への理解がある管理職が多い
- 定期面談の仕組みが整っている
- 支援機関との連携がある
- 配慮事項を共有しやすい
- 障害者雇用のノウハウが蓄積されている
私が現在勤務している会社でも、体調変化があった場合は上司や支援担当者へ相談しやすい環境があります。
実際、私自身も双極性障害の症状が不安定だった時期がありましたが、業務調整や面談を通じて乗り越えることができました。
人事担当として採用に関わった際も、「安心して長く働ける環境づくり」を重視していた印象があります。
障害特性への不安が大きい方にとっては、働きやすさを感じやすい環境と言えるかもしれませんね。
8-2 一般企業の特徴
一方で、一般企業にはキャリアの幅が広いという特徴があります。
障害者雇用枠であっても、企業によっては一般社員と近い業務を担当することがあります。
例えば、次のような職種です。
- 営業事務
- 経理
- ITエンジニア
- マーケティング
- 総務・人事
また、大企業では障害者雇用専用の部署ではなく、一般部署に配属されるケースも珍しくありません。
そのため、次のような方には魅力的な選択肢になります。
- 専門スキルを磨きたい
- キャリアアップを目指したい
- 一般社員と同じ環境で働きたい
ただし、企業によって障害理解のレベルに差があるのも事実です。
私が採用面接を担当していた時も、求職者から
「配慮はどこまで受けられますか?」
という質問を受けることがよくありました。
一般企業を選ぶ場合は、仕事内容だけでなく支援体制も確認しておきたいところですね。
8-3 向いている人の違い
結論としては、「何を優先したいか」で向いている環境が変わります。
私が人事担当として見てきた中で、傾向としては次のような違いがありました。
特例子会社が向いている人
- 体調面に不安がある
- まずは安定就労を目指したい
- 支援体制を重視したい
- 障害理解のある職場で働きたい
一般企業が向いている人
- 専門職を目指したい
- キャリアアップ志向が強い
- 幅広い業務経験を積みたい
- 一般社員と同じ環境で働きたい
私自身の場合は、就職当時は体調の安定が最優先でした。
そのため特例子会社という選択は結果的に合っていたと思います。
もし当時、無理に一般企業へ挑戦していたら長期就業は難しかったかもしれません。
就職活動では「どちらが上か」ではなく、「今の自分に合うか」を考えてみてください。
人事担当者もそこを見ています。
8-4 キャリア形成の違い
特例子会社と一般企業では、キャリア形成の考え方にも違いがあります。
以前は、
「特例子会社は単純作業が中心」
というイメージがありました。
しかし最近は状況が変わっています。
前章で触れたように、障害者雇用では「雇用率を満たすこと」だけでなく、「雇用の質」をどう高めるかも注目されるようになっています。
つまり企業側は、
「採用人数を増やす」
だけでなく、
「活躍できる人材を育成する」
ことにも力を入れ始めているんです。
実際に私も入社後、次のような業務を経験しました。
- 事務業務
- 総務業務
- 社内プロジェクト
- 人事・採用業務
入社当時は人事に携わるとは想像もしていませんでした。
特例子会社だからキャリアアップできないという時代ではなくなりつつあります。
もちろん一般企業の方が職種の幅は広い傾向があります。
しかし特例子会社でも、経験や実績を積みながらキャリアを広げることは十分可能なんです。
就職先を選ぶ際は、「最初の職場」だけを見るのではなく、「5年後、10年後にどんな働き方をしたいか」という視点も持っておくと選びやすくなりますよ。
章まとめ
特例子会社は支援体制や障害理解に強みがあり、一般企業は職種やキャリアの幅に魅力があります。
どちらが正解というわけではなく、自分の体調や将来像に合った環境を選ぶことが現実的です。
次の章では、面接後に実際どんな話し合いがされるのか、「採用会議のリアル」をお伝えします。
9. 元人事担当者・採用責任者が語る「採用会議のリアル」

ここまで読んでくださったあなたは、こんな疑問を持っているかもしれません。
「面接が終わった後、人事は何を話しているの?」
「採用か不採用かは、何で決まるの?」
実は、この部分はインターネット上にもあまり情報がありません。
私自身、一般雇用で働いていた途中でうつ病と双極性障害を発症し、精神障害者手帳を取得しました。
その後、就労移行支援を利用して大手企業の特例子会社へ入社し、現在まで10年以上勤務しています。
さらに社内では複数部署を経験し、人事・採用担当として面接や採用会議にも参加してきました。
この章では、求人票や採用サイトには書かれていない「採用会議のリアル」をお伝えします。
9-1 面接後に実際どんな議論がされるのか
結論から言うと、採用会議で話されるのは「障害名」よりも「入社後に活躍できるか」です。
求職者の中には、
「双極性障害だから不利なのでは」
「発達障害だから採用されないのでは」
と心配している方もいると思います。
しかし実際の採用会議では、障害名そのものが話題の中心になることはほとんどありません。
私が参加した会議でよく出ていた議論は次のような内容です。
- 勤怠は安定しているか
- 配慮事項は明確か
- 配属先で対応できるか
- 困った時に相談できそうか
- 長く働けそうか
例えば面接評価シートに、
「週5日安定通所を1年以上継続」
「就労移行支援で皆勤」
と書かれていると評価は高くなりやすい傾向がありました。
反対に、
「体調変動の説明が曖昧」
「支援機関との連携がない」
といったケースでは慎重な判断になることもあります。
正直なところ、人事担当者は未来を予測できません。
だからこそ過去の実績や現在の状況から、入社後をイメージしているんですよね。
9-2 採用を後押しする一言
結論として、採用会議で評価されやすいのは「自己理解ができている」と感じる発言です。
意外かもしれませんが、面接で完璧な受け答えをする人が必ず採用されるわけではありません。
私が実際に印象に残っている求職者の方は、
「体調が悪化する前兆は睡眠時間の乱れです」
「その場合は主治医と相談しながら早めに対応しています」
と話していました。
派手なアピールではありません。
しかし採用会議では、
「自己管理できている」
「相談できる人だ」
という評価につながりました。
高評価になりやすい発言には共通点があります。
- 自分の障害特性を理解している
- 配慮事項を具体的に説明できる
- 対処方法を持っている
- 支援機関と連携している
- 働く意欲を具体的に語れる
私自身も就職活動時、
「双極性障害があります」
だけではなく、
「睡眠管理を徹底しています」
「支援員と定期面談しています」
という話をしました。
今振り返ると、それが採用担当者の安心材料になったのかもしれません。
採用会議で意外と強いのは「この人なら何かあっても相談してくれそうだ」という印象なんです。
9-3 不採用になりやすいケース
結論から言うと、不採用理由の多くは障害そのものではありません。
採用会議で慎重な評価になりやすいケースには共通点があります。
- 配慮事項が曖昧
- 勤怠が不安定
- 質問への回答が一貫しない
- 就労準備が整っていない
- 支援体制がない
私が実際に経験した例では、面接時には
「問題なく勤務できます」
と話していた方が、後半の質問で
「週5勤務は難しいかもしれません」
と回答されたことがありました。
もちろん体調面の不安は誰にでもあります。
しかし採用側は、
「実際はどちらなのだろう?」
と判断が難しくなってしまいます。
また、
「必要な配慮は特にありません」
と回答した後に、
「電話応対はできません」
「人との会話は苦手です」
と説明されるケースもあります。
すると現場側は配属後のイメージができなくなります。
不採用になるケースの多くは能力不足ではなく、「採用後のイメージが持てない」状態なんですよね。
9-4 「障害があるから不採用」は本当にあるのか
これは多くの方が気になるテーマだと思います。
結論から言うと、「障害があるから不採用」というより、「受け入れ環境が整っていないため採用できない」というケースはあります。
例えば、次のような状況です。
- エレベーターがない
- 業務内容と配慮事項が合わない
- サポート体制が不足している
- 専門知識を持つ担当者がいない
私も採用担当時代、
「この方は優秀だと思う」
と感じながらも、配属予定部署が対応できず採用を見送ったケースを経験しました。
非常に悩ましい判断でした。
だからこそ、求職者側も
「採用されるか」
だけではなく、
「自分が働き続けられる環境か」
を確認してみてください。
前章で触れたように、障害者雇用の現場では「雇用の質」を重視する流れも強まっています。
「とりあえず人数を埋める」よりも、「長く活躍してもらう」という考え方へ少しずつ変わってきているんです。
私自身、双極性障害を抱えながら採用され、現在も10年以上働き続けています。
そして人事担当として採用会議にも参加しました。
その経験から断言できるのは、採用会議で見られているのは障害名ではなく、「この人が職場で活躍する姿を想像できるか」という点だということです。
章まとめ
採用会議では障害名そのものよりも、自己理解・勤怠の安定・相談力・配慮事項の具体性が重視されています。
私が採用担当として感じたのは、「障害があること」よりも「自分の障害とどう向き合っているか」の方が評価に大きく影響するということでした。
次の章では、障害者雇用で10年以上働き続けて分かった「成功する人・失敗する人の共通点」を具体的に紹介していきます。
10. 障害者雇用で成功する人・失敗する人の共通点

障害者雇用で働きたいと思っている方の多くが気になるのは、
「採用される人とされない人の違い」
ではないでしょうか。
しかし、人事担当を経験した私が本当に気になるのは、その先です。
それは、
「採用後に長く活躍できる人かどうか」
という点なんですよね。
私は双極性障害の当事者として障害者雇用で就職し、現在まで10年以上勤務しています。
また、人事・採用担当として多くの応募者や社員とも関わってきました。
その経験の中で見えてきた、「成功する人」と「苦労しやすい人」の共通点をお伝えします。
10-1 成功する人の共通点
結論から言うと、成功する人は「障害を理解している人」です。
ここでいう成功とは、高い役職に就くことではありません。
長く安定して働き、自分らしいキャリアを築いている状態です。
成功している人には、次のような共通点があります。
- 自分の障害特性を理解している
- 困った時に相談できる
- 無理をしすぎない
- 継続して体調管理をしている
- 周囲との信頼関係を作れる
例えば私の場合、双極性障害の症状が安定し始めたのは就職後すぐではありませんでした。
入社後も体調の波はありました。
しかし、
「最近少し睡眠時間が減っている」
「疲労感が強くなってきた」
といった変化を早めに把握し、上司へ相談するようになってから働きやすくなりました。
また、人事担当時代に印象的だった社員もいました。
その方は精神障害がありましたが、
「今週は少し疲れが出ています」
「来週まで様子を見たいです」
と定期的に報告していました。
結果的に大きな体調悪化を防ぎ、長く勤務を続けています。
成功している人は特別な能力を持っているわけではありません。
自分を理解し、周囲と協力することが上手なんですよね。
10-2 失敗する人の共通点
一方で、早期離職や体調悪化を繰り返しやすい人にも共通点があります。
結論としては、「一人で抱え込む人」です。
もちろん本人が悪いわけではありません。
真面目な人ほど、この傾向があります。
私が見てきた中では、次のようなケースが少なくありませんでした。
- 無理をして頑張りすぎる
- 相談を遠慮する
- 本音を言わない
- 配慮を求めない
- できないことを隠す
実際に、
「迷惑をかけたくないので言いませんでした」
という理由で体調悪化してしまう方もいました。
私自身も入社当初は似たタイプでした。
一般雇用時代に体調を崩した経験があったため、
「もう迷惑をかけたくない」
という気持ちが強かったんです。
しかし結果的に、無理をしている時ほど調子を崩しやすくなりました。
長く働いて分かったのは、相談は弱さではないということです。
むしろ適切に相談できる人ほど、安定して働けている印象があります。
10-3 採用後に評価される人の特徴
結論から言うと、評価されるのは「障害が軽い人」ではありません。
人事や現場管理職が見ているのは、仕事への向き合い方です。
評価されやすい人には、次の特徴があります。
- 約束を守る
- 報告・連絡・相談ができる
- 分からないことを質問できる
- 改善しようとする姿勢がある
- 周囲への感謝を伝えられる
実はこれらは一般雇用でも同じなんです。
私が人事担当だった頃、
「障害特性はあるが信頼できる人」
への評価は非常に高かったです。
反対に、
「能力は高いが連絡がない」
「突然休む理由が分からない」
というケースは周囲が不安になります。
障害者雇用では配慮が必要な場面もあります。
だからこそ、日頃のコミュニケーションが信頼につながるんですよ。
私自身も人事業務を担当するようになってから、仕事のスキルだけでなく、周囲との関係づくりの重みを実感しました。
10-4 長く働くために必要な考え方
最後にお伝えしたいのは、「100点を目指さない」という考え方です。
障害者雇用で働いていると、
「もっと頑張らなければ」
「周りに追いつかなければ」
と焦ることがあります。
私も何度も経験しました。
特に入社して数年間は、
「一般雇用の頃と同じように働かなければ」
と思い込んでいたんです。
しかし、その考え方は長続きしませんでした。
むしろ、次のような積み重ねの方が結果的に長く働けています。
- 継続して出勤する
- 安定して働く
- 困ったら相談する
- 少しずつ成長する
10年以上勤務して感じるのは、仕事は短距離走ではなくマラソンに近いということです。
一時的に頑張るよりも、無理なく続ける方がずっと価値があります。
障害者雇用でも同じです。
採用されることがゴールではありません。
働き続け、自分なりのキャリアを築いていくことこそが本当のスタートなんですよね。
章まとめ
障害者雇用で成功している人には、自己理解があり、相談できて、無理をしすぎないという共通点があります。
私自身、双極性障害を抱えながら10年以上働いてきましたが、長く働く秘訣は特別な能力ではなく「自分を知り、周囲を頼ること」でした。
次の章では、障害者雇用を目指す人が今から準備できることを整理していきます。
11. 障害者雇用を目指す人が今から準備すべきこと

ここまで、人事担当者の本音や採用の判断基準について解説してきました。
では実際に、障害者雇用で働きたいと思った時、何から準備すればよいのでしょうか。
私は一般雇用で働いている中でうつ病と双極性障害を発症し、精神障害者保健福祉手帳を取得しました。
その後、就労移行支援を利用しながら就職活動を行い、大手企業の特例子会社へ入社。
現在は10年以上継続して勤務しています。
さらに、人事・採用担当として応募者を見る立場も経験しました。
その両方の立場から感じるのは、「採用活動が始まる前の準備」が結果を大きく左右するということなんですよね。
ここでは、障害者雇用を目指す方が今から取り組める準備についてお伝えします。
11-1 自己理解を深める
結論から言うと、障害者雇用の就職活動で最初に向き合いたいのは自己理解です。
人事担当者は面接で、
「この人は自分の障害を理解できているか」
を見ています。
なぜなら、本人が理解できていない障害特性は企業側も配慮できないからなんです。
例えば、次のような内容を整理しておくと面接でも説明しやすくなります。
- どんな時に体調を崩しやすいか
- ストレスの原因は何か
- 苦手な業務は何か
- 得意な業務は何か
- 調子が悪くなる前兆はあるか
私も就労移行支援へ通うまでは、自分の状態をうまく説明できませんでした。
「調子が悪いです」
とは言えても、
「なぜ悪くなるのか」
までは分かっていなかったんです。
しかし支援員と振り返りを重ねる中で、
「睡眠不足が続くと不調になる」
「急な予定変更が重なるとストレスが増える」
など、自分の傾向が見えてきました。
その結果、面接でも具体的に説明できるようになったんですよ。
11-2 主治医と連携する
次に考えたいのが主治医との連携です。
採用担当者は医療的な専門家ではありません。
そのため、
「現在の症状は安定しているのか」
「就労可能な状態なのか」
を客観的に確認したいと考えています。
その際に大きな判断材料になるのが主治医の意見です。
特に精神障害の場合、次のような情報は企業側の安心材料になります。
- 通院状況
- 服薬状況
- 症状の安定性
- 就労に対する見解
私も就職活動前には主治医へ、
「どのくらいの勤務時間が現実的か」
「どんな働き方が望ましいか」
を相談していました。
当時は早く働きたい気持ちが強かったのですが、主治医からは慎重な意見もありました。
今振り返ると、その判断は正しかったと思います。
焦って就職するよりも、安定した状態で働き始めた方が結果的に長く続くんですよね。
11-3 就労移行支援を活用する
私自身が利用して良かったと感じているのが就労移行支援です。
就労移行支援(障害のある方が就職を目指すための福祉サービス)は、障害者雇用を目指す人にとって心強い存在です。
利用すると、次のような支援を受けられます。
- ビジネスマナーの習得
- 履歴書作成支援
- 面接練習
- 企業実習
- 定着支援
特に私が助かったのは面接練習でした。
最初は障害説明だけで精一杯でしたが、何度も練習する中で、
「配慮事項の伝え方」
「職歴の説明方法」
を整理できるようになったんです。
また、人事担当になってから分かったことがあります。
それは、就労移行支援と連携している応募者は、企業側も安心感を持ちやすいということです。
困った時に相談できる支援機関があることは、本人だけでなく企業にとってもプラス材料なんですよ。
11-4 職務経歴を整理する
最後に見落とされがちなのが職務経歴の整理です。
障害者雇用だからといって、職歴やスキルが見られないわけではありません。
むしろ採用担当者は、
「この人は何ができるのか」
を知りたいと思っています。
整理する際は、次のような内容を書き出してみてください。
- 担当した業務
- 使用したシステム
- 取得資格
- 成果や実績
- 得意な仕事
私も一般雇用時代の経験を振り返った時、
「クレーム対応をしていた」
「Excelで資料作成をしていた」
「新人教育を担当していた」
など、意外と多くの経験がありました。
当時は当たり前だと思っていましたが、人事担当になってから見ると十分なアピール材料だったんです。
障害者雇用では障害だけに意識が向きがちです。
しかし採用する側は、
「どんな配慮が必要か」
だけでなく、
「どんな強みを持っているか」
も同じくらい見ています。
自分の経験を整理することで、自信にもつながりますよ。
章まとめ
障害者雇用の就職活動は、求人探しから始まるわけではありません。
自己理解を深め、主治医や支援機関と連携し、自分の強みや職歴を整理するところからスタートします。
私自身も就労移行支援を利用しながら準備を重ねたことで、現在まで10年以上働き続けることができています。
次の章では、障害者雇用でよくある疑問にQ&A形式で答えていきます。
12. よくある質問Q&A

ここまで、人事担当者の本音や採用基準について詳しく解説してきました。
それでも、
「結局、自分は採用されるのだろうか」
「精神障害だとやっぱり厳しいのでは?」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
私自身も障害者雇用で就職活動をしていた頃は、同じような疑問を持っていました。
さらに、人事・採用担当として応募者を見る立場も経験したからこそ、応募者と採用側の両方の視点からお答えしたいと思います。
Q1. 障害者雇用は本当に戦力として見られていますか?
結論から言うと、企業は戦力として見ています。
少なくとも私がこれまで勤務してきた会社や、人事担当として関わってきた採用活動ではそうでした。
確かに障害者雇用には法定雇用率があります。
そのため、
「どうせ数合わせでしょ」
と思われることもあります。
しかし実際の現場では、採用後に仕事をしてもらうことが前提です。
採用して終わりではありません。
例えば私が所属している特例子会社でも、次のような仕事があります。
- データ入力
- 人事事務
- 総務業務
- 経理補助
- システム運用
- 採用業務
私自身も10年以上の間に複数部署を経験し、人事や採用業務にも携わってきました。
もし単なる人数合わせだけなら、人事担当を任されることはなかったと思います。
また採用会議でも、
「この人は何ができるか」
「どの部署で活躍できそうか」
という話は必ず出ます。
もちろん企業によって温度差はあります。
それでも、障害者雇用だから戦力として見られないのではなく、障害者雇用だからこそ長く活躍できる戦力を探しているというのが本音に近いと思います。
Q2. 精神障害は不利ですか?
結論から言うと、精神障害だから不利というわけではありません。
ただし、人事担当者が確認したいポイントは身体障害や知的障害と少し異なります。
私自身もうつ病と双極性障害を経験し、精神障害者保健福祉手帳を取得しています。
就職活動中は、
「精神障害だと採用されにくいのでは」
と不安でした。
実際に人事担当者が気にするのは、次のような内容です。
- 症状は安定しているか
- 通院や服薬を継続しているか
- 勤怠が安定しているか
- ストレス対処方法があるか
- 相談できる環境があるか
つまり障害名そのものよりも、
「働き続けられる状態か」
を見ているんです。
例えば面接で、
「双極性障害があります」
だけで終わる人と、
「双極性障害がありますが、服薬管理を継続し、ここ2年間は安定しています。体調悪化のサインも把握しており、必要に応じて主治医や支援員へ相談しています」
と説明できる人では印象が大きく変わります。
人事担当者は医師ではありません。
だからこそ安心材料を求めています。
私が採用担当時代に感じていたのも同じでした。
精神障害だから不採用ではなく、「働くイメージが持てるか」が判断材料になるんですよ。
Q3. 合理的配慮を求めると落ちますか?
結論から言うと、合理的配慮(障害による不利益を減らすための調整)を伝えたから不採用になるわけではありません。
むしろ伝えない方が企業は困ります。
例えば、次のような配慮は事前に共有した方が良い情報です。
- 通院のため月1回早退したい
- 電話対応を減らしたい
- 指示は口頭と文章の両方でほしい
問題になるのは、
「どんな配慮が必要か分からない」
「配慮内容が曖昧」
というケースなんです。
企業が対応可能か判断できるよう、具体的に伝えられると安心感につながります。
Q4. 障害者雇用で昇進できますか?
できます。
ただし会社によって制度は異なります。
近年は障害者雇用でも一般社員と同じ評価制度を導入する企業が増えています。
私自身も入社当初は単純作業中心でした。
しかし勤務を続ける中で業務の幅が広がり、人事や採用業務も経験しました。
昇進や昇格の基準は会社ごとに違いますが、次のような点が評価対象になるケースが多いですよ。
- 勤怠の安定
- 業務成果
- 信頼関係
障害者雇用だから成長できないという時代ではなくなってきています。
Q5. 障害者雇用は給料が安いですか?
結論として、一概には言えません。
確かに最低賃金に近い求人もあります。
一方で、大手企業や特例子会社では一般雇用に近い給与体系を採用している会社も増えています。
給与は、次の条件によって大きく変わります。
- 勤務時間
- 業務内容
- 地域
- 企業規模
私が就職活動をしていた頃よりも、求人の選択肢はかなり増えています。
求人票を見る際は給与額だけでなく、
「昇給制度があるか」
「賞与があるか」
も確認してみてください。
Q6. 特例子会社と一般企業はどちらが良いですか?
これは本当によく聞かれる質問です。
結論として、人によります。
特例子会社は障害者支援のノウハウが豊富です。
一方で一般企業は職種やキャリアの幅が広い傾向があります。
私は特例子会社で働いていますが、次のような点には助けられてきました。
- 相談しやすい環境
- 障害理解のある上司
- 配慮体制
ただし全員に特例子会社が向いているわけではありません。
自分が何を優先したいかで選ぶのが良いと思います。
Q7. 就労支援は利用した方が良いですか?
私個人としては利用して良かったです。
就労移行支援(就職を目指す障害者向けの訓練サービス)では、次のような経験ができました。
- 面接練習
- 履歴書作成
- ビジネスマナー
- 企業実習
特に障害説明の整理には大きく役立ちました。
また、人事担当だった立場から見ても、就労支援機関と連携している応募者には安心感があります。
就職後も相談先があるというのは、大きな強みなんですよね。
Q8. 人事担当者は応募書類のどこを見ていますか?
結論として、学歴や職歴だけを見ているわけではありません。
私が人事担当として特に確認していたのは、次の点でした。
- 勤務継続の見込み
- 障害特性の理解
- 配慮事項の具体性
- 職務経験
- 志望動機
例えば、
「体調が安定している理由」
「再発防止のために取り組んでいること」
が書かれていると非常に参考になります。
逆に職歴が立派でも、配慮事項が不明確だと判断が難しくなります。
応募書類は経歴紹介だけでなく、自分の働き方説明書という意識で作成すると伝わりやすいですよ。
章まとめ
障害者雇用に関する不安の多くは、企業側の考え方が見えないことから生まれます。
私自身、当事者として就職活動を経験し、その後人事担当として採用にも関わったことで見えてきたのは、企業が見ているのは障害そのものではなく「長く一緒に働けるか」という点でした。
最後に、本記事でお伝えしてきた人事担当者の本音を振り返りながら、障害者雇用で働くために本当に知っておきたいポイントを整理します。
まとめ:人事の本音は「障害の有無」ではなく「一緒に働けるか」

ここまで、障害者雇用における人事担当者の本音について、採用担当者の視点と私自身の経験を交えながら解説してきました。
この記事でお伝えしたかった結論は、大きく3つあります。
1つ目:人事担当者の本音は「一緒に働けるか」
まず1つ目は、人事担当者が本当に見ているのは「障害の有無」ではなく、「一緒に働けるかどうか」という点です。
確かに企業には法定雇用率の達成というミッションがあります。
しかし採用会議の現場では、
「この人なら長く働けそうか」
「職場と良い関係を築けそうか」
「業務を安定して任せられそうか」
といった話が中心になります。
私自身、人事・採用担当を経験しましたが、「障害名が理由で不採用」というよりも、「働くイメージが持てない」というケースの方が圧倒的に多かったんですよね。
2つ目:採用される人は自己理解と職場理解ができている
2つ目は、採用される人ほど自己理解と職場理解ができているということです。
採用担当者が安心できる応募者には共通点があります。
- 自分の障害特性を理解している
- 配慮事項を具体的に説明できる
- 困った時に相談できる
- 安定した生活リズムを維持できている
- 企業側の立場も理解しようとしている
私も一般雇用で働いていた頃にうつ病と双極性障害を発症し、その後、精神障害者保健福祉手帳を取得しました。
就労移行支援を利用しながら障害特性を整理し、「何ができて、何が苦手なのか」を言語化できるようになったことで、障害者雇用での就職につながりました。
振り返ると、採用された理由は障害が軽かったからではなく、自分の状態を説明できるようになっていたからだったと思います。
3つ目:これからは「雇用の質」がさらに重視される
そして3つ目は、これからの障害者雇用では「雇用率」だけでなく「雇用の質」が重視されていくということです。
近年は、単に人数を採用するだけではなく、次のような視点を重視する企業が増えています。
- 長く働き続けられるか
- 成長できる環境があるか
- キャリア形成ができるか
- 職場定着につながっているか
私が勤務する特例子会社でも、以前より「定着支援」や「キャリア形成」の話題が増えました。
採用して終わりではなく、入社後に活躍してもらうことへ企業の関心が移ってきているんです。
もし今、あなたが障害者雇用への応募を考えていて不安を感じているなら、障害そのものを過度に気にする必要はありません。
人事担当者が知りたいのは、
「どんな配慮があれば力を発揮できるのか」
「どのように働き続けたいのか」
という現実的な部分です。
自分の障害特性と向き合い、少しずつ就労準備を進めていけば、あなたに合った職場はきっと見つかります。
私自身、一般雇用で体調を崩し、将来に大きな不安を抱えていた時期がありました。
しかし、障害者雇用で働き始めて10年以上が経過し、人事や採用の仕事まで経験させてもらえるようになりました。
今は自信が持てなくても大丈夫です。
企業が求めているのは完璧な人材ではありません。
自分を理解し、周囲と協力しながら働こうとする姿勢こそが、障害者雇用で長く活躍するための大きな強みになるはずですよ。

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